中でも哀れだったのは、反トランプの急先鋒『MSNBC』のニュースショー「Morning Joe」だ。朝からまるでお通夜のようで、うだうだとバイデンの負けを認めようとしないアンカーのジョー・スカーボローを共同アンカーのミカ・ブレジンスキーがたしなめ、危うく言い合いになる始末。

これに限らずCNNなど反トランプのニュース番組でも、コメンテーターが異口同音に口にするのは「トランプが嘘をついた」の一言。そこで、トランプ次期政権の構想を練っているとされるヘリテージ財団の『Daily Signal』の「討論会の16の主張を検証」なる記事に各主張の真贋が書いてあるので、これも項目だけを以下に紹介する。

トランプ、歴史上最も安全な国境があったが今は最悪だ
バイデン、トランプは漂白剤を飲むことを推奨していると非難
トランプ、「誰もが」ロー対ウェイド判決の覆しを支持した
バイデン、「憲法学者はロー対ウェイド判決を支持した」
バイデン、トランプはシャーロッツビルで「とても素敵な人々」といった
バイデン、インフレは「企業の貪欲さが原因」
バイデン、私たちは後期中絶に賛成しません。以上です。以上です。
トランプ、バイデンは「中国から金をもらっている」
トランプ、「史上最低の税金」
バイデン、トランクは「ヒトラーは良いことをした」といった
バイデン、トランプは1期でどの大統領よりも財政赤字を増やした
トランプ、私の時にイランはハマスやヒズボラに資金援助しなかった
トランプ、バイデン政権下で食品価格は「2倍、3倍、4倍に」
トランプ、国境を越える麻薬の量は「過去最大」
バイデン、10% の関税は価格上昇につながる
バイデン、国境警備隊が私を支持

以上だが、こうしてみると、バイデンには、口籠った末の「メディケアに打ち勝った」発言や上記16発言の数分後に、国境警備隊が「バイデンを支持しない」と「X」にポストするなどの明らかな錯誤や言い間違えが多い一方、トランプには「嘘」というより「盛り過ぎ」や「断定」が多いように思える。

どちらが米国の国益や西側社会にとって深刻かは、先述した「For Whom the Split Screen Tolls」(WFB)の次の一節に表れていよう。

バイデンのパフォーマンスを観て、その態度を評価していたのは米国人だけではない。習近平、ウラジーミル・プーチン、イスラム教指導者、そして金正恩も視聴していた。そして世界はより危険な場所になった。