11月5日の投票を左右するバイデンvsトランプの1回目の討論会がジョージア州アトランタで27日21時(現地時間)から、途中2度のCM休憩を挟み90分間にわたって行われた。筆者は28日朝9時過ぎからPC桟敷で準備を整え、開始時間の10時に備えた。

米大統領選に最近凝っている友人にLINEで指南をしつつ、「Newsmax2」の動画を見始めた。英語なので何を言っているか判らないとこぼす友人に、「先ずは二人の表情や態度を見たら良い、後で字幕入りの録画番組が組まれるので、字幕を日本語に設定してもう見直せば内容が理解できる」と伝えた。

こうして始まったCNNの画面は偶さか2分割され、左にトランプ、右にバイデンの表情を映し出す。始まって直ぐ、トランプの発言を聞くバイデンの表情の異様さが目に付いた。呆けたように口を半開きにし、瞬きもせず右目を少し吊り上げたり、眼を閉じて下を向いたりするのだ。

『ワシントンフリービーコン』(WFB:親トランプ)は「For Whom the Split Screen Tolls(誰がために分割画面は鳴る)」との秀逸な見出しで報じた。ヘミングウェーの「For Whom the bell Tolls」のもじりで、「分割画面はバイデンのため(の弔鐘)」とばかり退陣を促している訳である。

この余りに無残なバイデンの様子には、保守紙のみならず左派紙も仰天したらしく、総じてバイデン退陣論が占めた。以下に討論終了後の左右各メディアの見出しを挙げてみる。

「Debate Recap: We Need To Talk About Grandpa(討論会要約: お祖父ちゃんについて話す必要がある)―民主党は悲惨な討論会の後でパニック状態―」(WFB)
「バイデン氏の最大の弱点である年齢が討論会で完全に露呈:分析 ―大統領の年齢と虚弱さは、舞台では明らかにマイナスとなったー」(ABCnews:反トランプ)。
「トランプは大統領選討論会で『勝利』しなかったかもしれない。が、バイデンは負けた ―討論会は結果に影響を与えないことが示されてきたが、今回の討論会はその傾向を試すことになるかもー」(MSNBC:反トランプ)。
「トランプがバイデンに圧倒的勝利、2024年の選挙戦に厄介な疑問浮上」(Foxnews:親トランプ)
「民主党は考えられない事態を考えている:バイデン氏が去る時が来た」(Politico:中道左派)
「民主党、バイデンの討論会でのパフォーマンスに激怒『バイデンは終わりだ』」(Politico)
「民主党がバイデンに代わる方法はこれだ ―同党は数十年使われてこなかったルールブックを開示する必要があるだろう、そしてまずはバイデンが撤退することだー」(Politico)
「バイデンの失策がトランプとの論争を支配」(Axios:中道左派)
トランプ「バイデンは勉強し過ぎて自分が何をしているのか分かっていなかった」(Newsmax:親トランプ)
「NYタイムズ社説委員会:バイデンは国のために選挙戦から撤退すべき」(Newsmax)

以上、各紙右から左までバイデン退陣を要求する見出しで埋め尽くされている。