世論調査(6月24日、読売で、改正政治資金法の成立に対する評価を聞いたところ、「評価しない56%」、さらに「政治とカネの問題の解決につながると思いますか」には「思わない73%」でした。こうした評価が政権支持率の低下64%につながっているはずです。

世論は、政治資金法改正で自民党はもっと譲歩すべきだと考えている。「政治資金を監視する第三者機関の設置」などは、付記されただけで「今後の検討」となり、恐らくやる気はないのでしょう。

徹底した政治資金の浄化に抵抗しているのが自民党でしょう。自民党内の大勢は「岸田首相は野党の要求に譲歩しすぎている」で、菅・前首相が躍りでて、メディアは「何が今の日本の政治に必要なのか」より、「国会閉幕で総裁選に号砲」(日経)といった具合です。

岸田首相にしてみれば、世論からは「譲歩が足りない」といわれ、自民党からは「譲歩のし過ぎだ」と批判される。どちらを向いたらよいのか、悩み抜いていることは確かでしょう。

何かにつけて「首相の指導力が足りない」で、片づけられる問題ではありません。メディアが指摘すべきは「自民党内からの抵抗が政権支持率を低下させていることに自民党は目覚めるべきだ」ということです。

社説では「不正根絶に向けた資金の透明化には程遠い」(日経)、「岸田首相も国会も国民の負託に応えたとはいえない」(朝日)と書いたきり、その後の岸田降しをどうみているのかにまだ触れていません。

菅・前首相は「ポスト岸田」候補の評価を聞かれ、「期待できる方だ」、「突破力はある」、「改革意欲がある」などと答えています。世論調査(読売6月24日)では「次期総裁には誰がふさわしいか」の問いに「石破茂23%、小泉進次郎15%、高市早苗7%・・・」などを紹介しています。

これらは単なる人気投票でしょう。選挙向きの顔を並べただけで、かれらが「罠に嵌っている日本をどう再生させるのか」が何もわかりません。連日、岸田降しの情報を読まされるとしたら、虚しい。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。