コウノトリが観察できるハイキングコース
古城の裏手には、コウノトリが餌をとる様子が観察できる「コウノトリのハイキングコース」があるとのことで、実際に見に行ってみました。
付近を流れるマルヒ川には、洪水対策の広大な氾濫原があり、原始林のような自然が広がっています。その一部の沼地に、20羽ほどのコウノトリが集まっていました。今までは屋根や木の上にいるコウノトリを見上げていたので、地面の高さにいるのが不思議な感じがします。コウノトリたちは沼地の泥から餌のカエルや魚、トカゲなどを採っているところでした。
オーストリア人にも人気のスポットのようで、巨大な望遠レンズを付けたホビーカメラマンが何人も訪れていました。
コウノトリが春に飛来するのに最も重要な条件が、この「豊富な餌場があること」です。このマルヒエック城は、広大な庭園とマルヒ川の氾濫原という自然の巨大な沼地のおかげで、オーストリア一のコウノトリの飛来地となったというわけですね。
オーストリアのもう1つのコウノトリの名所で、ノイジードル湖近くのルストという町では、コウノトリは家の屋根や煙突に巣を作ることが多く、2023年には23ペアが44羽の子どもを育てました。一方マルヒ川流域の平原に飛来するコウノトリは、ルストの倍から3倍近い数ということもあり、両方訪れてみると数でも迫力でも軍配が上がります。屋根の上にいるコウノトリより自然の中で過ごすコウノトリの方が、身近に感じるものですね。
まとめ
羽を伸ばすと2m以上にもなる巨大なコウノトリが飛び交う、マルヒエック城。野鳥好きの方は、その迫力を肌で感じることができる珍しいスポットです。芝生の上のピクニックやハイキングがお好きな方も、いつもと違う自然との触れ合いの時間を楽しめることでしょう。
春に飛来し、カップルで巣を作り、子育てをし、仲良くクラッタリングで愛情表現をするコウノトリ。そんな姿を大昔から見てきた欧州人にとっては、「コウノトリが子どもも運んでくる」という伝説は、生活の中で生まれた、とても自然なお話なのだと実感します。
マルヒエック城
- 住所:Im Schloß 1, 2293 Marchegg
- 開館時間:10:00~17:00
- 閉館日:月曜日
※マルヒ川はオーストリア、チェコ、スロバキアの三国を流れる川で、通常チェコやスロバキアの呼称「モラヴァ川」と呼ばれることもありますが、当記事ではオーストリアでの呼称「マルヒ川」を使用しています。
※日本に飛来するコウノトリはくちばしが黒いですが、欧州のコウノトリは赤いくちばしで、「シュバシコウ」という名で呼ばれることもあります。ドイツ語では、アジアのコウノトリは「黒くちばしコウノトリ」、欧州のものは「白コウノトリ」と分類されていますので、当記事ではどちらも「コウノトリ」と表記しています。
文・写真・ ひょろ/提供元・たびこふれ
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