銅板を挟み込んだ新しい水生成システム!従来の2~5倍の効率
研究チームは、排熱の利用だけでなく、さらなる効率化を求めて、新たなシステムを設計しました。
彼らの新システムでは、銅を利用した吸着フィンを採用しています。
フィンの表面には、従来通り、吸着剤としてゼオライトがコーティングされています。
そして薄いフィンを少しの間隔をあけて複数並べることで、湿った空気が接する面を広くし、効率的に水を吸着できるようにしました。
加えてフィンの内部には銅板を挟み込んでいます。
フィンの加熱には排熱を利用しますが、銅板は高い熱伝導率と耐腐食性の点でメリットがあり、フィンの内部に銅板を挟み込むことにより、水の「吸着」と「加熱による放出」のサイクル効率が高まります。
そして研究チームが概念実証のために行った実験では、約2mm間隔で10枚のフィンを並べた装置が使用されました。
この装置では、1時間以内にフィンの水分は飽和し、加熱によって水を放出できました。
24回の収集と放出のサイクルを繰り返すことで、湿度30%の環境下で、1リットルの吸着剤当たり、1日1.3リットルの飲料水を生成できると分かりました。
これは従来のシステムの2~5倍もの効率を実現していることになります。
さらに排熱を利用するため、エネルギー効率も非常に高いと言えます。
この新しいシステムが発展するなら、水不足が深刻な地域でも、飲料水を供給できるようになるでしょう。
特に、砂漠のような乾燥地帯では活躍するかもしれず、大きな期待が集まっています。
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参考文献
Small, adsorbent ‘fins’ collect humidity rather than swim through water
https://www.eurekalert.org/news-releases/1048856?
Harvesting Drinking Water From Air With Innovative Absorbent Fins
https://scitechdaily.com/harvesting-drinking-water-from-air-with-innovative-absorbent-fins/
元論文
Design of a Compact Multicyclic High-Performance Atmospheric Water Harvester for Arid Environments
https://doi.org/10.1021/acsenergylett.4c01061
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部