その点からは外国人は「さまさま」なのです。

私が東京で展開している賃貸住宅事業も外国人がほぼ5割を占めると同時に高額物件は外国人が競うようにして借りていくのです。先日も一軒、部屋が空いたので取引先の不動産屋に埋められるか、と聞くと「手持ちの案件がありすぎてとてもすぐには埋められない」と。そこでその部屋を外国人向け仕様で私が得意とする外国人向けマーケティングをすると半日で3件の問い合わせがあり即決なのです。

なぜ外国人が良いかといえば単価が良いこと、客を選べばトラブルは日本人より少ないこと、賃料の支払いは日本人よりしっかりしていて期日通りにかっちり払ってきます。(外国の場合、国によっては追い出されるリスクがあるので賃料支払いは外国人はおおむねまじめなのです。)

レストランでもそうです。先日も都心のあるレストランで日本人客は我々だけということもありました。店側も英語のメニューを準備するなど外国人をしっかり取り込もうとする姿勢が見て取れます。もちろん、スタッフの方が流ちょうにしゃべれないので欧米のレストランで当たり前にある「本日のおすすめ」や悩んだ時のお店のリコメンなどができないのが玉にきずですが、彼らの落とすお金はお店にとって極めて重要であることは間違いないでしょう。

またホテル価格はこの1年で25%上がったと報じられています。日本人御用達のアパホテルのような「ぎゅう詰めコンセプト」は外国人には居住に対する感性の観点からどこまで受けるのか私は疑問視していますが、一般ホテルで一定の居住空間があるところは有利な展開ができるでしょう。

更に日本で数年間過ごす特定技能外国人は企業を中心に引き合いが多く、イオンが2030年までに4000人を受け入れると報じられています。また、日本人の若者が外国に行って働きながら学ぶワーキングホリディが高収入ゲットだとして話題になりましたが、日本に来るワーキングホリディの市場もしっかり育っておりこちらが年間15000人程度となっています。個人的にはこれは今後更に伸びて2030年ぐらいまでに2倍の3万人は達成できるとみています。

街を歩いていてもいわゆる観光客というより明らかに「住んでいる」外国人が増えたなという印象です。

では「さまざま」のほうはどうなのでしょうか? 私が一番面倒だと思うのは彼らはコミュニティをすぐに作り出すのです。これは日本人を除き、どの国でもどんな民族でも同じです。私の住むバンクーバーでも各民族のコミュニティと居住地域は固まっています。

以前、お伝えしたように私の事務所があるシェアオフィスは過半数がイラン人で占められ、「類は友を呼ぶ」方式でどんどんコミュニティが大きくなっていくのです。すると他の民族が押し出されるわけです。おかげで中国人など一人もいない珍しい状態でもあります。

日本でも同様の問題は各地で起きていると思います。特に企業が特定国の特定技能外国人を採用する傾向があるため、雇われた人たちが強いコミュニティを作り、自分たちの存在と権利を主張するわけです。

彼らが暴走しない限りにおいてそれは結構なことですが、地元との軋轢が起きることも当然あるし、双方がコミュニケーションが取れない上に日本の独特の伝統、習慣、風習を理解できないこともまた行き違いが生じる原因です。

カナダでは英語を使うのでコミュニケーション欠如になりにくいのですが、日本は話し合いすらできない状態となれば今後、あちらこちらでそのような問題は起きるかもしれません。

政府は外国人を単に受け入れ6000万人という目標設定をするばかりではなく、様々な外国人が日本で快適に過ごし、日本人とどのように調和を図るのかその教育なり、マナーなりをウェブや小冊子、更には多少税金を使ってでも公民館で日本の生活についての講習をするなど制度を築くべきでしょう。そういうプランがないからトラブルが絶えないし、日本が国際化できない理由でもあります。

また各市町村の長はそれら外国人コミュティに対して「NO」から入るのではなく、「Welcome」から入りながらも日本人社会とどうやったらうまくやれるのか、教える姿勢を見せるべきでしょう。それこそ外国人とのコミュニケーションはその国の言語で「こんにちは、〇〇の皆さん!」ぐらい言えた方がいいのです。

その点、川口市も渋谷区も姿勢が「NO」から入っているのです。これは外国人との付き合い方において入り口から間違いだとコミュニティに深くかかわる海外在住者としてのコメントさせて頂きます。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月27日の記事より転載させていただきました。