選挙公報は、各候補者から送られてきた原文に手を入れずに、掲載する規定になっているからこんなことになる。公職選挙法を改正しておくべきでした。今の規定は「言論の自由」を守るためとか。「言論の自由」と「暴論の自由」を混同している。「自由」には「責任」が伴うことを無視しています。

林官房長官は「掲示板を候補者以外は使用できない」と発言し、無関係な人物のポスターを貼った場合は、警察あたりが対処する。そこまではいいにしても、長官の「記載内容を制限する規定はない」とかの部分はおかしい。「制限する規定はない」ではなく、「今回のようなケースは想定していなかった」が正しい。

立候補し、投票総数の1割未満しか取れなかった場合は、300万円の供託金を没収されます。「NHK・・党」の場合は、計5700万円(19人分)になる。もともと売名が目的だったろうし、YouTubeかなんかで拡散すれば、元を取れるとの計算でしょう。300万円は売名のコストです。

他にも「覇王党」(明るい日本を取り戻す)、「伝説の弁護士・石丸幸人党」(悪質なサラ金を一掃)、「忠臣蔵義士新党」(敬愛と孝養の精神)、「ゴルフ党」(金持ちのお金を再配分)など、売名・からかい半分の候補者が乱立しています。

こうした傾向は回を追うごとに増えています。せっかく1万4000か所の掲示板を用意したのに、まじめにポスターを貼っているのは、数人から10人程度でしょう。「56人が立候補したので、掲示板のスペースが足りず、臨時に増やす」(都選管)も馬鹿げた対応です。

米国の大統領選でも、泥試合が続いています。偽物(フェーク)の選挙情報も紛れこみ、民主主義の土台である選挙が世界的に危機に立たされています。せっかくの選挙が薄汚れ、いいようにかき回されている。公職選挙法の改正作業に直ちに取り掛かるよう望みます。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年6月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。