プーチン大統領の前任者ボリス・エリツイン(大統領在位1991~1999年)は訪問国(アイルランド)に到着したが、飛行機から降りてこなかった。なぜなら、飛行中にウオッカを飲み過ぎて眠り込んでしまったからだ。首脳会談はキャンセルされた。その点、プーチン氏は前任者より数段規律があるから、そのようなことはないが、”遅刻癖”はなくならない、というか止める気がない。プーチン氏は24年ぶりの訪朝でも数時間遅れて、19日未明になって平壌の国際空港にようやく到着し、金正恩総書記の歓迎を受けた。
ところで、待機時間中、金正恩氏はどうだったろうか。激怒してコーヒーカップの一つでも壁に向かって投げつけただろうか。それともプーチン氏の遅刻癖については知っていたから、国際空港内の待機室で仮眠をとっていただろうか。朝鮮中央通信(KCNA)が報じていないから、その辺のことは分からない。
ちなみに、プーチン氏の遅刻癖には多分に安全問題が関わっているのだろう。KGB時代から、どこに、いつ行くかを直前になるまで外部に流さない。その習慣が大統領になっても変わらないのだ。それとも、プーチン氏を狙う外国の暗殺者が暗躍しているからだろうか。
プーチン氏の24年ぶりの訪朝はロシアと北朝鮮両国にとって実り多き機会となったことは間違いないだろう。金正恩氏はプーチン氏と10時間を超える会談をしたという。両首脳はほとんどぶっ通しで話していたことになる。話すべき議題が多いうえ、プーチン氏は訪朝後、ベトナム訪問を控えていたからだ。