生産性と能力のトレードオフ

生成AIが生産性を高めてくれるのは疑いようもない事実だ。難解な長文が書かれていれば、これまでは能力を総動員して時間をかけて自力で読解するほかなかった。しかし、時代は変わった。生成AIに読み込ませて要約してもらえば、僅かな労力と時間で求める結果が非常に高い精度で手に入る。今後、後者を実践するビジネスマンに利があるのは明らかである。

しかし、これは同時に能力開発のチャンスを失ってはいないだろうか?こんなに脳が楽をすることはないのだから、もはや脳に汗をかく必要がなくなってしまう。あくまでハルシネーション(AIが学習データにはない誤った情報を生成してしまう現象のこと)を乗り越える前提ではあるものの、生産性を追求した先には能力の減退するトレードオフを受け入れなければならない可能性はある。

そうなると、今後重要なスキルは素材を「調理する」読解力や専門スキル以上に、アウトプットされた成果物を最終形に仕上げる「味付け」の能力になるかもしれない。

生成AIを使わない、という選択肢はありえない。そんなことをすれば、AI前提で仕事が進むこれからの時代に確実に取り残されてしまう。人類は新たなテクノロジーをことごとく受け入れ、一度知った利便性を手放して後退した歴史ない。そしてこのAIの利便性はまさに革命的である。だが同時に失われる要素も冷静に理解しておくべきだろう。

 

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