ミレイにとって、オーストリアの経済学者(1881-1973)(訳注※ミーゼスのこと)は、マレー・ロスバード(ミーゼスの弟子)と並んで歴史上最も重要な経済学者です。

不思議なことに、今朝、エリサ・”リリータ”・カリオが、ロスバードの研究についての講義を行うと宣伝していました。印象的だったのは、彼女がロスバードの発音を間違え(Rotwald)、広告のスペルも間違っていたことです(Rothbald)。

これはミレイの主張(アルゼンチンでミーゼス等のことが知られていない)を証明しています。

アルゼンチンの退廃の一端は、指導者たちの文化的貧困によって説明できます。指導者たちは、私たちが無意味に考え続けている問題の多くを解決してきた偉大な思想家たちをまったく知らないのです。

ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス

マレー・ロスバード

ミーゼスの経済学への貢献は、非常に重要です。

来月、私がニコラス・マルケスと共著した本が出版されますが(訳注※この記事のはじめに紹介した「ミレイ:彼らが予想もしなかった革命」のこと)、その中で私は、この思想家(ミーゼスは「経済学者」以上の存在であった)と彼のオーストリア学派の簡単な紹介に章を割いています。

そこで読者は、このテーマについての予備知識がなくても、このテーマについて明確な考えを持つことができ、この著作の内容を理解するのに必要な基礎知識を持って、著者を直接読み始めることができます。

オーストリア学派の第二世代の代表的な人物であるミーゼスは、社会主義の理論を葬り去った経済学者として歴史に名を残すに値します。

1920年代、西側諸国がソビエトの現象に幻想を抱いて見守っていたのに対し、ミーゼスは共産主義のユートピアを完全に解体しました。

どうやって解体したのでしょうか?

単純なことですが、マルクス主義が示唆するように「平等」を追求し、私有財産をなくすと、経済は解決不可能な問題に悩まされることになると警告したのです。価格とは、人々が財産そのものを評価した結果だからです。

私有財産をなくすことは、価格制度をなくし、資源配分の可能性をなくすことです。特に、中央集権的な計画という致命的な傲慢さがあれば、これは絶対に基本的なことです。

社会主義は「理論的には良いが、実際には失敗する」と考える人が多いですが、真実は、良いものでも悪いものでもなく絶対に不可能なものなのです。だからこそ、社会主義が適用されようとするときはいつも、悲劇と同義なのです。

ミーゼスの予言は、ソビエト連邦の失敗からキューバの災難、そしてベネズエラの災難に至るまで、文字通りに実現されています。

私有財産のない(あるいは侵害され規制された財産)、市場価格のない、すべての実験に共通するのは、配給カードと長蛇の列を伴う欠乏です。

もちろん、政治的な領域で繰り返される必然的な権威主義的プロセスもあります。

ミーゼスの弟子のフリードリヒ・ハイエクも教えているように、政府の経済への介入は遅かれ早かれ、個人の自由を著しく侵害することに行き着くのです。

社会主義の追求がミーゼスのテーゼを裏付けたのと同じように、規制された「資本主義」経済もまた、ミーゼスの正しさを証明する結果となりました。マネーサプライや金利が人為的に操作されるたびに、経済は誤ったシグナルで動くようになりました。

それは投資家を時間の経過とともに持続不可能な投資に誘導し、市場の歪みが解消されると必然的にバブルのようにはじけました。

この偉大な知識人ミーゼスの死後半世紀以上が経過しましたが、現実は彼の警告を裏付けるものになっています。

そして、全く逆のことがマルクスに当てはまります。マルクスは完全に反論されているにもかかわらず、半ば建設的なものであるかのように研究され続けています。

しかし、幸いなことに、現在ミーゼスはアルゼンチンだけでなく、世界中で影響力を発揮し始めています。

マルセロさんの記事の翻訳・紹介は以上となります。

日本ではミーゼスの名前はまったく知られていませんでしたが、近年少しずつ、その名前や思想が知られ始めていると思います。

この自由主義研究所のnoteでも、ミーゼス・ロスバード・ハイエクなどに関しての記事を今後も紹介していきたいと思います。

編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。