トランプ氏が大統領になった時のもう一つのサプライズの可能性は仮想通貨です。同氏はかなり仮想通貨を推しており、通貨を巡る状況は大きく変わるのかもしれません。但し、これも今はそれに価値を見出す人たちの狭い領域から脱しておらず、ようやくアメリカの現物ETFが出始めて世間一般に浸透し始めたところです。あるところで爆発的流行になるかもしれませんが、その後の持続性はそれを手にした人たちの反応次第、ということになります。つまりそこにも揺り戻しは当然あるわけです。
石炭火力でいつも劣勢に押されている日本に巻き返しのチャンスが生まれる気がします。欧州は石炭は何が何でも絶対ダメ、というスタンスが強いのですが、ドイツは石炭火力依存度が高いし、中国を含めたアジア諸国は石炭がまだ主力のところもあります。日本が開発しているアンモニア混焼は2030年頃に向け混焼比率を上げていくことになっています。仮に100%になれば石炭火力が絶対ダメというのは政治的ステートメントでしかなく、説得力がなくなります。この時、判断基準は大きく変わっていくわけです。再び冒頭のアパレルの話で行くと「流行色は緑から茶色に変えるぞー」というのと同じです。
世界の向かうところは国際会議が華やかな現代社会において政治のトップがその時の最適解として決め、それを世界の指針にしようと試みるところにあります。ところが世の中はどんどん複雑になり、リーダーシップを誰が取っているかによりこの力関係は崩れます。例えば今のG7のメンバーは数年後には半分以上が変わっているでしょう。その後ろ盾となる政党も変わっているとすれば全く違う議論がそこで行われるのです。それこそ緑を茶色に、どころではなく、金色色にするぐらいの激変すら起こりえるのです。
そこにあるのは民の声というより専門家と政治家が作り上げた理想郷であり、それをForceすることです。ところが現代社会は情報化時代で民の物事に対する知識量が格段に向上したため、簡単には騙されない、これが今起きつつあることだろうと思います。
なにか決めてもその賞味期限は短い、これがキーです。世の中の大局的な趨勢を捉えることは非常に難しくなったと思います。よって我々はそれに惑わされず自身のしっかりした考えを身に着けることが大事だと考えます。緑が好きならずっと緑でもよいと私は考えています。これは保守的思想というよりうわつかず、本当の自分の価値観との共生ということではないかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月18日の記事より転載させていただきました。