「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」 慶應義塾大学東館に刻まれているラテン語で書かれた福澤の言。 Wikipediaより

2024年4月5日、慶應義塾大学は、「経済的困窮や一人暮らしにより支援が必要な学生に無料で食事をお届け」と称し、民間企業と連携した学生への食事支援を開始するとのプレスリリースを行った。

ワタミと慶應義塾大学が学生への食事支援を開始-経済的困窮や一人暮らしにより支援が必要な学生に無料で食事をお届け

記録的な物価高が続き、経済的負担が増加する中、充実した学生生活を食の面からサポートするという大学当局の姿勢は大きく評価できる。しかし、なぜこの食事支援が物議を醸す結果となってしまったのか。

その理由は支援の対象にある。

【支援①】一人暮らしを始める女子学生に向けた食の支援

対象:新たに一人暮らしを始める、関東以外の高等学校等出身の女子新入生で、支援が必要と判断された学生 人数:年間約200名 内容:ミールキット「PAKU MOGU」「あっ!と ごはん」「定番おうちごはん」(2人用)を、毎月8セット分、無料で提供。

【支援②】生活困窮者に向けた食の支援

対象:家庭の経済的困窮などにより、支援が必要と判断した学生 人数:年間約370名 内容:「ワタミの宅食」の調理済み弁当「スマートプレート(F400、R500)」を、毎月1回1食分、無料で提供。

(プレスリリースより引用)

【支援①】は、支援対象が「新たに一人暮らしを始める、関東以外の高等学校等出身の女子新入生で、支援が必要と判断された学生」に限定されており、男子新入生が支援を受けることができない。

【支援②】として「家庭の経済的困窮などにより、支援が必要と判断した学生」が対象の「生活困窮者に向けた食の支援」も掲げられているが、男子学生のみが片方の支援対象から外されている。

何が問題なのか

まず、この食事支援は、男子新入生が生まれながらの性別によって支援対象となる機会を不当に減らされている。

男子新入生でも支援②を受けることができるとの指摘があるかもしれないが、支援①の支援内容が「ミールキット『PAKU MOGU』『あっ!と ごはん』『定番おうちごはん』(2人用)を、毎月8セット分、無料で提供」とある通り、毎月16食もの支援がされるのに対し、支援②の支援内容は「『ワタミの宅食』の調理済み弁当『スマートプレート(F400、R500)』を、毎月1回 1食分、無料で提供」とある通り、毎月1食しか支援がなされない。

性別によって受けられる支援量に16倍もの差を付けるのには、やはり違和感を覚える塾生も多い。