美容製品に特化したeコマースも登場
前述のような事例はありつつも、アフリカ内で製造された美容製品はまだまだ少数派。南アフリカとエジプトを除けば、アフリカで使われている化粧品の多くは輸入品だ。とくに欧州や中国からの輸入品が多く、最近では韓国コスメの人気も高まっている。
輸入化粧品が消費者に届くまでのサプライチェーンは複雑で、卸を何重にも経由することで非効率が生じており、価格の透明性も損なわれている。こうした課題の解決に取り組んでいるのが、ルワンダのKashaだ。
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ImageCredit:Kasha
同社は2016年にルワンダで事業を開始した後、ケニア、ブルンジ、コンゴ民主共和国、南アフリカに進出した。シードラウンドで150万ドル、2020年のシリーズAラウンドで360万ドル、2023年のシリーズBラウンドで2,100万ドルを調達しており、シリーズAからシリーズBにかけての期間で年間経常収益(ARR)が50倍に増加したという。
美容ビジネスの運営支援にニーズ
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ImageCredit:Glamera
前述のZuriも、ヘアサロン向けに業績管理や在庫管理ができるソフトウェアを開発し、これを外販することでサロンの運営を支援している。
消費者との近さをいかした商品開発や販路開拓が強みを生む
美容製品は、富裕層に留まらず広く使われる製品である。都市化や消費生活を支える中間層の増加によって需要が増えるタイプの製品でもあるため、中間層が増加しているアフリカでは、美容市場の拡大は続くと推測される。アフリカの経済発展に伴って女性の社会進出が進めば、女性の購買力が向上し、市場規模の拡大ペースはさらに加速するだろう。
一方、アフリカで使われている化粧品の多くは輸入品で、グローバルメーカーが高いシェアを占めているのが現状だ。現地のスタートアップが強みを持つとすれば、消費者により近い場所にいることである。この強みを生かしてアフリカ女性の肌質に合った商品開発を行ったり、現地のトレンドをいち早く商品に取り入れたりすることが有効とも考えられる。
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ImageCredit:Kasha
さらに、美容業界の小規模事業者をターゲットとした業務支援にもビジネスチャンスがある。これらの業務支援や取引を通じて蓄積されたアフリカの美容業界に関するデータは、それ自体が商品として高い価値を持つ。人口増加が見込めるアフリカでの販売を強化したい美容製品メーカーにとって、市場動向の把握や顧客接点の確保は最初のハードルとなるため、メーカーへのデータ提供から収益を得ることが可能となるだろう。
文・藤原梓(アフリカビジネスパートナーズ)