本稿は、アフリカビジネスパートナーズによる寄稿記事である。同社は、ケニアや南アフリカに現地法人を持ち、アフリカ40か国で新規事業立ち上げやスタートアップ投資に関する支援を提供している。現地のビジネス最前線を知る同社独自の視点から、投資家が注目するべきアフリカのスタートアップトレンドを毎月ピックアップして紹介していく。

前号では、アフリカで増加しているゲーム人口を取り込もうとゲーム業界で奮闘しているスタートアップを取り上げた。

第6回となる本号では、美容関連のサービスを提供するスタートアップを取り上げる。美容はアフリカ女性にとって関心の高い領域で、女性を対象にしたテック、いわゆるフェムテックの観点からも注目されている。
フェムテック…Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語

アフリカの女性にとって、ウィッグやエクステといった毛髪製品はとても身近なものだ。おしゃれや身だしなみのため、自分の髪に合成繊維で作られた“髪の毛”を縫い込んだり編み込んだりする。

特に、若い女性における毛髪製品の使用率は100%に近い。彼女たちは毛髪製品をセットするため、ヘアサロンを月1回、多い人では2週間に1回程度のペースで訪れている。家族や友人の集まり、職場で誰がどんなヘアスタイルをしているかは常に女性たちの関心の対象であるため、お金をかけたいポイントなのだ。

アフリカでの現地生産に乗り出す企業が誕生

ImageCredit:Zuri

コンゴ民主共和国のZuriは、ウィッグリムーバーなどの女性向けヘアケア製品を製造している。これを販売するだけでなく、ヘアサロンチェーンをフランチャイズ方式で運営している。

Zuriのヘアサロンチェーンは、本拠を置くコンゴ民主共和国だけでなく、ウガンダやルワンダにも広がった。2016年の創業以来、いまでは2万店以上のサロンを顧客に抱え、SNSのフォロワー数は50万人を超えている。この4月には自社初となる機関投資家からの資金調達に成功しており、今後はフランスとベルギーへの進出を予定している。

ImageCredit:Uncover SkinCare

ケニアのUncover SkinCareは、アフリカ女性向けのスキンケア製品、たとえば洗顔料や保湿クリーム、シートマスクなどを製造し、提携する小売店の実店舗とオンラインの両方で販売している。同社は2020年に世界大手ベンチャーキャピタルAntlerが設立したスタートアップで、2022年のシードラウンドでは100万ドルを調達している。