黒坂岳央です。
世の中は「いかにお金を増やすか?」という話題で溢れかえっている。こうすれば節約できる!とか給料が振り込まれたら先に貯金分を確保する!といったものである。新NISAも蓄財ブームを後押しする。
これだけ貯金が流行っている理由はシンプルで、確かにムダな支出を削ることは効果が大きくまた節約という行為自体がエンタメで楽しいからだ。
しかし、支出が旺盛とされるアメリカ人を含め、多くの人は死ぬ時に最もお金持ちになってしまう。その結果「若い頃にお金を使えばよかった」と後悔することになる皮肉がある。
筆者がおすすめしたいのは「支出の目標金額を持つ」ということである。
自己投資枠を作る「ビジネススキルを磨け」「読書をしろ、セミナーにいけ」といった啓蒙がなされるが、いざ支出する段階になると「やっぱりよく考えるともったいないな」と及び腰になる。普段、節約を頑張っている人にとっては自己投資はまっさきに削りたくなる支出の筆頭だろう。
しかし、それをしてしまうと蓄財は進むが、確実に人生に発展性がなくなる。古い価値観、常識のまま時代に取り残される。「今どき、記事や動画がある」という意見もあるが、痛みを伴わない学習はよほど向上心と学ぶ技術がなければ「知って終わり」になるだけで、知ったことをできる技術に昇華させることはなかなか難しい。
そこで自己投資枠を設けるのだ。たとえば月1万円、2万円でも良い。この予算は必ず使う。書籍代、セミナー代でもいいし、先端テクノロジーに触れるためのサブスク代にしてもいい。人間、痛みを伴うことで初めて身になるものなので、出費を経た学習は本気になるし元を取ろうと必死になるから成長できる。