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その登場は早すぎた…あるいは遅すぎた

その登場は早すぎた…あるいは遅すぎた

高回転高出力ツインカム搭載!ホンダならではの“走り”が魅力なのに売れなかった…なぜかって?そりゃあ…お前…|ホンダ L700【推し車】
(画像=デラックス版のLM700(ホンダコレクションホールに展示)は商用車らしからぬ内装で、乗用ユースメインのスポーツワゴンだったと言えるだろう,『MOBY』より 引用)

しかし、ホンダ L700が発売されたのは国産車に重要な変化が訪れる、非常に微妙な時期だったので、少々不運ではありました。

1965年9月の発売当初こそ、700~800cc級の同クラスライバル(トヨタ パブリカ、ダイハツ コンパーノ、マツダ ファミリアのライトバン)に対しパワフルで、当時の「休日にはライトバンをマイカーとして使う」乗用ユース向けのデラックス版LM700もラインナップ。

デザインこそ平凡でしたが、30〜40馬力級のライバルに対し52馬力、圧倒的な動力性能と速度性能(120km/h巡航可能)を誇り、商売用兼ファミリーカーでも、「S」シリーズユーザーの普段使いでもイケそうな気がします。

しかしL700が発売された翌1966年とは…日産 サニー&トヨタ カローラの初代モデル、ついでにスバル1000も発売され、デラックスな内外装にソコソコの性能、手頃な価格が売りの「マイカー元年」が始まってしまいました。

そうなると、高性能ながら少々割高でライトバンとしては経済性に劣り、見栄えや快適性ではサニーやカローラに劣るホンダ L700はなんとも中途半端です。

後の1980〜1990年代RVブームならウケそうなクルマですし、何なら5ナンバーの乗用登録でスポーツワゴンとして売ってもイケそうですが、1960年代にそれでは通用しません。

同年にはS800と同じDOHC791ccエンジン(のデチューン版)を積んだ「L800」へと進化しますが、「ライトバン以上マイカーセダン未満」な事には変わらず。

結果的に、「スポーツワゴンとして売るには早すぎ、乗用ユース向きのライトバンとしてシェアを獲得するには遅すぎる」という、間の悪いデビューだったように思えます。