世界最大の人口を誇るインドでは近年、気候変動による大雨や干ばつなどの異常気象が多発している。今年5月には、最高気温が50度を超えるといった記録的な熱波が報告された。
不安定な天候により、インドでは多くの農家が「土壌環境の悪化」「作物の品質低下」などの課題に直面している。

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IoT機器が適切な灌漑スケジュールを算出
Fylloは2種類の農業用IoT機器を開発している。ひとつは「Nero」、もうひとつは「Kairo」という製品名である。

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広大な国土を持つインドで水はもちろん無料ではなく、中には農業用水に恵まれない地域もある。化学肥料と同じく、浪費することはできないものだ。だが、現状は各農家の経験則や感覚のみで灌漑や施肥が行われている。これでは資源の節約は難しい。Neroはそのような面からの負担を軽減する効果を見込めるという。

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インドでは狭いエリア内でも降雨パターンは異なり、さらに土壌の種類や保水能力は農場ごとに違ってくるものだ。また、灌漑の必要性の有無は作物とその成長段階に応じて変わる。NeroやKairoを活用することで、農場それぞれのニーズに合ったアプローチが可能になるのだ。
12回の感慨がわずか4回に
NeroやKairoが収集したデータは、全てFylloの専用アプリに反映される。

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灌漑スケジュール、施肥スケジュール、害虫・病気の発生予測、天気予報などをAIを活用した予測モデルで算出し、ユーザーに提供する。地域別の天気予報は「歴史的気候」も考慮してくれる。
灌漑スケジュールを自動算出することにより、具体的にどのような成果が出るのだろうか。
インドのマハーラーシュトラ州モホルでブドウ農園を営むVijaysingh Kachare氏は、Fylloの開発した一連のシステムを導入する以前は1シーズンにつき11回から12回の灌漑を行っていたが、システム導入後には4回で住むようになったという。肥料のコストも大幅に節約できたそうだ。