今月6日から始まった欧州連合(EU)の欧州議会選挙(定数720、任期5年)は9日までに加盟国27カ国の投票が終了し、即日開票の結果(暫定)、欧州委員長の再選を狙うフォンデアライエン欧州委員長が所属する親EU派の会派「欧州人民党」(EPP)は最大会派の地位を維持する一方、極右政党の会派「アイデンティティと民主主義」(ID)と右派「欧州保守改革グループ」(ECR)が躍進し、両会派に属さない極右「ドイツのための選択肢」(AfD)や右派政党を加えると140議席を上回る勢いだ。なお、親EU派のEPPと「社会主義者・民主主義者進歩同盟」(S&D)の両会派で欧州議会の過半数を確保する見通しだ。
9日深夜(現地時間)の暫定結果によると、フランスでは大統領候補のマリーヌ・ルペン氏の国家主義、ポピュリズムを標榜する極右「国民連合」(ジョルダン・バルデラ党首=RN)が得票率約32%を獲得し、マクロン大統領の与党連合の倍以上の票を獲得した。
投票結果を受け、マクロン大統領は9日、「欧州議会選の結果を何もなかったようには扱えない」」として下院を解散し、今月30日と7月7日に議会選挙を実施すると決意を表明した(ちなみに、国民直接選挙であるフランス大統領選に2期目のマクロン大統領は次回出馬できない。そのため今回の欧州議会選で大きく勝利したRNのルペン氏が2027年に実施予定の大統領選で大統領に選出される可能性が一段と現実味を帯びてきた)。
一方、イタリアのメロー二首相が率いる右派政党「イタリアの同胞(FDI)」は得票率で27~31%を獲得して第1党となる可能性が高まった。オーストリアの極右「自由党」(キックル党首)も連邦レベルで初めて得票率で第1党に躍進した。
ドイツのAfDは同党筆頭候補者の不祥事が選挙前にメディアで報道され、苦戦を強いられたが、得票率約15.9%を得て、得票率30%以上を獲得した「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)に次いで第2党に。ショルツ首相の「社会民主党」(SPD)は約13.9%で第3党に甘んじた。