SHEINがEUで「デジタルサービス法(DSA)」の規制対象となったことが波紋を広げています。また米国も関税チェックを強化する動きを見せています。この状況により「日本で買えなくなってしまうのでは」「SHEINで買い物しても大丈夫なのか」と気になる方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事ではEUがSHEINを規制した理由と日本での状況、購入時に気を付けるべき点をご紹介します。

EUがSHEINを規制したワケ

SHEINはEUの「デジタルサービス法」の規制対象となりました。

具体的には、SHEINは知的財産権を侵害する偽造品や未成年に有害な商品への対応を義務付けられた形で、2024年8月末までの対応が求められています。デジタルサービス法に違反した場合、SHEINは世界の売上高に対して6%の罰金が課せられることとなります。

これに対し、SHEINは「安全でコンプライアンスに準拠した環境を提供していく」と回答しています。

デジタルサービス法(DSA)はFacebookやX(旧Twitter)などを含む、EU域内に4500万人以上の月間利用者数を持つサービスが規制対象となっています。違法コンテンツの拡散防止の文脈で注目されることが多い法律ですが、実は偽造品もこの法律での規制対象に含まれます。世界的に人気拡大しているSHEINがEU圏内でも多く利用されるようになったことで規制対象となったというわけです。

フランスでは最大50%の罰則も検討されている

フランス下院ではSHEINや同じく低価格帯のECとして知られるTemuを念頭に、低価格商品の輸入品及びそれらのSNS広告や街頭広告を禁止する法案が可決されています。

今後法案が施行された場合、罰金は衣料品一点ずつに対して課せられる見込みです。法案では2030年までに、一点につき10ユーロ(約1630円・最大で一点当たりの半額まで)まで罰金を引き上げていく形となっています。

EUのデジタルサービス法に加え、フランス下院の法案のように各国での広告規制が続くことはSHEINにとっては大きな逆風と言えるでしょう。

米国では関税強化の動き

EUのデジタルサービス法やファストファッション広告の禁止と比較すると、米国の動きはやや緩やかです。

一方でSHEINやTemuといった低価格帯のECが、米国内のアパレル事業者にダメージを与えていると批判する声は少なくありません。またSHEINやTemuなどの事業者は適正な関税を支払っていないのではないか、不当に関税を免除されているのではないかという声もあります。

そこで米国は関税チェックを強化することを打ち出しています。自国のサプライヤーを守る動きが強まっていく可能性がありそうです。

日本ではSHEINは規制対象?まだ購入できるの?

日本ではEU圏の国々で実施されているような、SHEINに対する規制は特にありません。ちなみに、Temuに関しても同様です。したがってこれまで通り購入可能なSHEINですが、一方で日本企業とのトラブルが一切ないというわけではありません。たとえば2024年1月にユニクロがバッグの模倣品販売をしているとしてSHEINを提訴し、いわゆる「パクリ」や粗悪品などが問題になっています。

なお、SHEINの日本国内の利用者数は、既にZOZOTOWNを上回っています。そのため「パクリ」「偽造品、粗悪品」などの問題が一層深刻化した場合、国内のサプライヤーへのダメージはやはり無視できないでしょう。EUや米国の動きに追従するような議論が活発化していく可能性は、十分に考えられるのではないでしょうか。