イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配しているイスラム過激テロ組織「ハマス」間の戦闘は8日で9カ月目に入った。イスラエル側にはガザ紛争は年内まで続くだろうという声が聞かれる中、イスラエル軍の戦闘で多数のパレスチナ人が死傷していることを受け、国際社会ではイスラエル批判の声が高まっている。

踊りだしたパレスチナの人々(2012年11月29日、ウィーン国連内にて撮影)

そのような中、ノルウェー、アイルランド、スペインの欧州3カ国は先月28日、パレスチナを国家承認すると発表した。現在、193カ国の国連加盟国のうち145カ国がパレスチナ国家を承認している。欧州連合(EU)の27カ国の加盟国では、スウェーデン、キプロス、ハンガリー、チェコ、ポーランド、スロバキア、ルーマニア、ブルガリアはパレスチナ国家を承認済みだった。

欧州3カ国のパレスチナ国家承認でEU内で承認への動きが加速するのではないかと予想されている。それを裏付けるように、スロベニア議会は4日、パレスチナを国家承認する動議を可決した。動議は、中道左派の与党が提出し、4日、議会の90議席中52人が賛成した。野党側は多くのEU加盟国と同じく現時点での承認には反対として、投票をボイコットした。スロベニアが国家承認した結果、EU27カ国中、11カ国が承認したことになる。次はマルタが国家承認するのではないかと見られている。

一方、北欧のデンマーク議会は先月28日、パレスチナ国家承認を「必要な条件が整っていない」として否決した。その直後、スイス国民議会(下院)も今月4日、パレスチナを独立国家として承認する内容の動議を否決した。EU加盟国の北欧デンマーク、そして中立国・スイスの「国家承認」否決は「パレスチナ国家承認」が複雑な問題であることを改めて明らかにした。