6月9日(正確には6〜9日)、EUの5年に一度の欧州議会選挙が実施される。加盟国27ヵ国から、人口に応じて総勢720人の議員が選出される。ドイツは99議席と一番多く、一番少ないのがキプロス、ルクセンブルク、マルタでそれぞれ6議席。

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EUは、最近ではよくニュースになるが、だからと言って加盟国の国民にEU市民としての明確な自覚があるわけではない。また、EUは実生活にとってもそれほどの重みはないし、選挙が間近に迫った今でさえ、何らかの期待が高まっているようには感じられない。どちらかというと、愛想を尽かしていると言った方が当たっているのではないか。

31年前、冷戦後の平和への期待を胸に再編成されたEUだが、今では腐敗が激しい。中でも腐敗臭がふんぷんなのは、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長。EUの首相とも言える権力者だ。

欧州委というのはEUの行政府であり、加盟国27ヵ国の27人の委員(=大臣)で形成されており、その中の一人が委員長(=首相)だ。ただ、その人選は選挙ではなく、欧州理事会(各国首脳の集まりで、EUで最高決定権を持つ)が決める。そして、最終的には委員長は欧州議会が選出したという形式をとる。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長Wikipediaより

EUでは、真に選挙で選出されるのは欧州議会の議員だけで、その他の重要なポストは、たいてい利権と根回しで決まる。2019年の欧州議会選挙の後、本来ならCSU(キリスト教社会同盟)の筆頭候補だったマンフレッド・ウェーバー氏が欧州委の委員長に就くと言われていたが、蓋を開けてみたらフォン・デア・ライエン氏が座っていた。