手頃な価格と確かな効果でユーザーから高評価

ユーザーは、都市・地域や20を超える専門分野(摂食障害、糖尿病、体重管理など)から栄養士を簡単に検索し、対面またはオンラインでカウンセリングを受けられる。保険無しであれば1回最大150ドルかかるカウンセリングが、Fayでは保険が適用されるため多くの場合10ドル以下になる。自己負担がゼロの場合も珍しくないという。

さらに重要なのは、ユーザーの健康状態も改善されていることだ。85%が目標体重を実現・維持し、同じく85%の健康診断の結果に改善が見られている。

Image Credit: Fay

身体面だけでなく、ユーザーの90%にメンタルヘルス面での改善も見られた。金銭的な負担が少ないうえ効果も高いとあって、3000件以上のレビューで平均4.97(5段階評価)という高評価を得ている。

栄養士や保険会社にもメリット

Fayのサービスはもともと、栄養士のために作られたもの。ユーザーだけでなく栄養士や保険会社にもメリットをもたらしている。

登録栄養士にとっては、収入アップが魅力だ。Faycurry氏がTechCrunchに語ったところによると、病院勤務に比べて5倍から8倍の収入が得られるらしい。

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保険料の払い戻しといった事務処理やマーケティングなどの業務をAIツールに任せ、カウンセリング業務に専念できる。2024年現在、Fayに登録している栄養士は1000人以上で、2025年には2000人を超える見込みだ。

一方で保険会社は、包括的な健康状態改善に取り組む高品質の臨床医と提携することでメリットが得られる。大病を患う保険加入者が減れば、保険金の支払いも減るということだろう。

GLP-1薬の市場規模、今後もCAGR25.5%で拡大の見込み

「利用しやすく効果的なケアが、関係者全員に利益をもたらします」と同氏が述べるとおり、Fayは三方よしのビジネスを展開することでヘルスケアの新時代を築いている。

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同社の成長を後押ししてきた要因の一つであるGLP-1薬の市場は今後も拡大する見込み。Fortune Business Insightの予測によると、世界の抗肥満薬市場規模は2024年の61億5,000万米ドルからCAGR25.5%で成長を続け、2032年までに379億4,000万米ドル到達するという。

ただ、同様のサービスを展開するのはFayだけではない。競合のNourishは、2024年3月にシリーズAラウンドで3500万ドルの資金を調達している。今後はさらなる差別化がカギになりそうだ。

(文・里しんご)