パレスチナ自治区ガザを実効支配しているイスラム過激テロ組織「ハマス」がイスラエル領に侵入し、奇襲テロを実行、約1200人のイスラエル人を虐殺し、250人以上を人質にしてから今月7日で8カ月目を迎える。イスラエルはハマスの奇襲テロへの報復攻撃を開始し、ガザ区でハマスとの戦闘を展開。その間、パレスチナ人側には3万5000人以上の犠牲者が出、国際社会はイスラエル軍の軍事攻勢を批判し、ガザでの軍事行動の即停止を要求する一方、国際刑事裁判所(ICC)は5月20日、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント国防相を戦争犯罪人として逮捕状を請求するなど、ガザ紛争が長期化するにつれてイスラエルへの批判が高まっている。

岸田文雄首相を迎えるサウジのムハンマド皇太子(2023年7月16日、首相官邸公式サイトから)

戦闘が長期化し、パレスチナ人に多くの犠牲が出るにつれてサウジアラビア、ヨルダン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)などアラブ諸国ではイスラエルへの批判が強まる一方で「ハマス」への支持が高まってきている。それに対し、アラブ諸国の指導者たちはイスラエルの軍事行動を批判する一方、国内での「ハマス」支持の高まりに警戒心を強めている。

オーストリア代表紙「プレッセ」(5月31日付)でイスタンブール特派員トーマス・ザイベルト記者は「窮地に陥るアラブの世界」という見出しで、アラブ諸国の指導者がガザ紛争、「ハマス」の台頭に直面して苦悩する状況を分析している。