相続税対策に使えそうな商品も
A氏:香港では、生命保険の利回りが良いうえ、レバレッジを掛けて保険を購入できます。例えば、「1億円を預けて、3億円を借り、その3億円で保険料を払い、保険金10億円の保険商品を買う」というイメージです。香港には相続税は無いので、日本人向けの使い方になりますが、こうした商品は、相続税の支払に使えるでしょう。
――たしかに、オーナー企業のオーナーが亡くなった場合、相続財産の大半が自社(非上場)の株式だったりします。そうすると、多額の相続税は掛かってくるのに、相続税を払う原資がないこともあります。そうした方が使うのに良さそうですね。
A氏:ただ、日本の保険業法の関係で、日本居住の方には販売できないのです。使える方は限られてしまいますね。
証券会社にお任せの商品、利回りが良い――個別株、債券やETFのような商品を自分で選択して買うという方もいらっしゃいますが、証券会社にお任せしたいという方もいらっしゃると思うのですが、良い商品はありますか?
A氏:弊社に一任していただく商品もございます。弊社で提供しているお勧め商品は、一つ目が、株式・債券・コモディティなどを組み合わせたグローバル型の商品、二つ目が、中国株を中心(90%以上)とした商品です。
――おいくらから購入できますか?
A氏:1本10万米ドル(約1500万円)で購入して頂けます。
プライベートバンクより、ハードルは低く、パフォーマンスは負けない――貴社に口座を開くには、ミニマムいくらを預ける必要がありますか?
A氏:30万米ドル(約4500万円)を基準としています。プライベートバンクの場合、ハードルが低いところでも200万米ドル(約3億円)ですから、プライベートバンクと比べ、ずっとハードルが低く小回りが利く存在だと思います。
――口座開設をして30万米ドルを入れ、先ほどおっしゃっていた1本10万米ドルの一任商品を3本買うというのが、ミニマムのイメージですね。
A氏:はい、2本ほど一任商品を買っていただき、あとは個別の商品を買っていただくというのも良いでしょう。ちなみに、弊社の一任商品はプライベートバンクの商品にもパフォーマンスで負けていません。
コマーシャルバンクでありがちな、商品売り込みは無い――香港では、普通のコマーシャルバンクが様々な金融商品も扱っています。そして、銀行員から商品を売り込まれたという話もよく聞きます。
A氏:そういう話はよく聞きますね。銀行の場合、金融商品の手数料で稼いでいるので、絶えず売り続けないといけないのでしょう。証券会社の場合、金融商品を売る際に一回だけお支払い頂く手数料ではなく、継続的な管理報酬を頂くことでビジネスを成り立たせていますので、そうした売り込みはしていないです。
チャイナリスクを気にしすぎる必要はない――香港の証券会社で商品を買うと「チャイナリスク」があるのでは?というような質問も聞きます。もし中国の影響が一層強まったら接収されてしまうのでは?というような心配ですね。
A氏:香港の証券会社で商品を買ったとしても原資産(証券が表している資産)が香港にある訳ではありません。たとえば、香港の証券会社で日本株を買った場合を想像してみてください。株式が表している資産はほとんど日本にありますから、中国政府が手を出すことはできません。
インタビューを終えて海外のプライベートバンクで資産運用するのに比べ、海外の証券会社で商品を買うハードルが高くないことに驚いた方もいらっしゃるかも知れません。ぜひ、海外の証券会社にお話を聞いてみてはいかがでしょうか。