指先で血液中の酸素濃度を測るオキシオメーターを常備し、就寝の前後、歩行時、食事時、入浴後などでデータを常時チェックできるようにしておく。酸素濃度は95%以上あればよく、90%台前半ならまあまあ、90%以下ならば要注意と指示されています。

私の場合は、2リットル補給で酸素濃度は90-95%で、補給装置がなければ90%を割り、要注意です。補給なしに95%にもっていくのが目標です。

喉も傷めつけられ、声がでない。こういう状態になったら、人を呼ぶこともできない。2週間、無声状態でした。

発症後の異変として、まず挙げたいのは嗅覚の異常です。食事のお盆が運ばれてくると、気持ち悪くなるような臭いが鼻につく。コロナ対策の強い消毒薬かなと思うことにしました。それも3日ほどすると、感じなくなったところをみると、はやりコロナによる嗅覚異常だったのでしょう。脳の働きに異常がでるそうです。

次が自分の呼気の異臭です。歯磨きが足りないせいかなと想像しました。とにかく嫌な臭いでした。それも3日で消えました。世話してくれた看護師さんは「自分も3月にコロナにかかり、3週間、食べ物の味が失われた」と、いっていいました。私の場合は、味覚ではなく、嗅覚の異常でした。

せん妄(幻覚)には3日3晩、頭が苦しめられました。どういうわけか、イスラエル・ガサ紛争の大論争が頭に浮上し、「イスラエル建国、パレスチナ国家設立の認可などの外交論争」が頭のなかでぐるぐる始まるのです。「もうやめてくれ」と叫ぶのに3晩、同じシーンが繰り返されました。

もう一つのせん妄は、在職していた会社の販売担当役員の顔が頭に浮上してきて、薄気味悪い表情をこちらに浮かべるのです。見たこともない顔です。実在することもない顔です。これも3晩、繰り返されました。

よく、死の間際には「花が咲く川の向こうで、両親がおいでおいでと、誘っている。従っていれば、死んでいた」という幻想が生じるようです。これは実際の光景というより、せん妄の類なのでしょう。

体重は4、5キロ、あっという間に激減し、筋力も削げ落ちました。病院側は退院に備えた丁寧なリハビリ指導をしてくれました。主に歩行訓練です。最後は自力で院内の廊下をゆっくり歩くことを繰り返しました。

今回の医療費は約50万円で、私の負担は約10万円(2割)でした。国民全体の医療費は116兆円(2020年)でそれを税金で34%(国22%、地方12%)、保険料負担65%(窓口・自己負担24%、現役世代41%)でカバーしています。いつまでこうした仕組みを続けられるのでしょうか。

現役世代は自分たちの医療費のほかに、高齢者の医療費も補助しています。高齢化はどんどん進み、高齢者ほど多額の医療費を使う。また、私には全く効果のなかった「初の国内のみ薬」の特効薬ゾコーバは、一回あたり(5日間)で5万円を超えます。半分飲んだところで、救急搬送ですから、何万円分も飲み残しがあります。いろいろ考えることがありました。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。