これまでの制度のもとで結婚される場合は、皇室会議の承認などはいらない。眞子さんは辞退されたが、一時金として1億数千万円が支給され、結婚相手の籍に入られる。
このことは、生計費用をどのように支出するかにも関係してくる。皇室を離れる一時金は支給されない。従来、皇族の私生活を支える費用は、各皇族には毎年皇族費(令和6年度の総額は2億6,372万4,000円)が支払われるが、天皇・皇太子とその家族は内廷費と呼ばれる特殊な会計で支払われ、1996年度以降は毎年3億2,400万円と定められている。
令和になるとき、上皇陛下ご夫妻と天皇ご一家のほかに、秋篠宮皇嗣殿下の費用も内廷費から支出する案もあったが、引き続き皇族費の形で、独立して支給することになった。
もし、愛子さまや佳子さまが結婚後も皇室に残られるなら、原則は三笠宮信子さまと同じ1525万円となるが、各宮家の長と同じ3,050万円になる可能性もあるし、その中間の金額とするのかもしれない。ただし、夫や子どもには、直接には支給されない。
お住まいについても考えてみたい。現在、上皇ご夫妻、秋篠宮家、三笠宮家は赤坂御用地にお住まいで、常陸宮は渋谷区に御所を持たれ、三笠宮信子さまはご体調の問題があって千鳥ヶ淵近くの旧宮内庁長官公邸にお住まいだ。
愛子さまや佳子さまが結婚後も皇族のままの場合、赤坂御用地のどこかにお住まいになるか、旧高松宮邸などほかの皇室施設、公務員住宅などを転用する、
いずれにせよ、皇室施設内に夫や子が住むことは問題ない。かつては、女性公務員が民間人の夫などと公務員住宅に住むのは難しかったが、現在では問題ないし、議員宿舎にもさまざまな職業の女性議員の夫が住んでいるから同じことだ。
この単独残留案の対象に、三笠宮家や高円宮家の王女たちを入れるかどうかだが、私は入れるべきだと思う。彼女たちがなかなか結婚されないのは、結婚して宮家をなくしてしまうのは亡き父親の思い出がゆえに辛い、というのが理由かもしれない。そこで、単独残留が可能になれば、少なくともその懸念は解消される。たとえ皇室の一員としては向いていなくとも、生涯の伴侶としては良いという男性を見つけやすくなると思う。
それは愛子さまや佳子さまでも同じで、結婚相手も皇族になる場合よりは、選択肢の幅が広がるだろう。