KFCはワンランク上の高品質なフライドチキンを提供

 調達先が切り替えられる可能性はあるのか。金融機関関係者はいう。

「あくまで現時点での推察ですが、ジャパンファームからの調達を継続すると考えるのが自然でしょう。カーライルの目的は、いったん日本KFCを非上場にして経営の自由度を高め、企業価値を高めて再上場させるか他社に売却することで利益を得ることなので、日本KFCの売上・利益にマイナスとなることは避けます。KFCの強み・集客力の要因の一つがチキンの質の高さであり、それがジャパンファームから仕入れる鶏肉によって支えられているのだとすれば、調達先を他社へスイッチする合理的理由はありません。長年にわたりKFCとジャパンファームは協力して質の向上などに取り組んできたので信頼関係も構築されており、調達先を変えて他社とゼロからそれを築くのは大変です。

 また、三菱商事も日本KFCを売却したがっていたので、カーライルとは敵対的ではなく良好的な関係のなかで売却に至っており、日本KFCからジャパンファームを引き上げる理由はないでしょうし、大口の取引先を失いたくないでしょう」

 では、もし仮に調達先が変わると、チキンの質が落ちる可能性はあるのだろうか。飲食プロデューサーで南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏はいう。

「日本において『フライドチキン』という商品名で販売されている商品のほとんどが、KFCのそれに近いフレイヴァーを目指して開発されているといってよいと思います。そういった広い意味での類似商品のなかで、KFCはスパイスやハーブのフレイヴァー以外の『味付け』の部分では、最もシンプルな部類に入ると思われます。これは良質な原料を店舗内調理で提供しているKFCだからこそでしょう。味の好みは人それぞれとはいえ、個人的にKFCは他のファストフードチェーンや小売店と比較して、ワンランク上の高品質なフライドチキンを提供し続けていると認識しています。

 一般的な飲食店では鶏肉は輸入の冷凍品が使われることが多く、その最大の輸入元はブラジルです。ブラジル産冷凍チキンは国産に比較すると安価であり、品質も決して悪くはありません。しかしKFCのフライドチキンのようにシンプルな味付け・調理法が施される場合においては、やはりより品質の高い国産チルド品が持つ、味の面での優位性は明らかです。

 国産の鶏肉だけに限っていうと、私の感覚としては、かつてより品質の底上げがなされていると感じています。20年ほど前であれば、仕入れ先によっては時折、妙に臭みが強いものや肉質が水っぽいものが紛れていた記憶がありますが、現在ではそういうケースがほぼなくなりました。そういう意味では、鶏肉原料の仕入れ先変更自体は、特に大きなリスクではないのではないかと予想します。

 日本のKFCが世界のなかでも特においしいといわれることがあるのは、丁寧な調理オペレーションや緻密な品質管理によるものなのではないかと思います。ここが崩れることさえなければ、今後も品質に関しては安泰といえるのではないでしょうか。

 余談ですが、KFCのオリジナルチキンを最も確実においしく食べる方法があります。それは、確実に揚げたてすぐが手に入る開店時間と同時に購入してすぐ食べること。特にムネ肉系統の部位のおいしさは格別です。『これまで食べていたものは何だったんだろう?』とすら感じるかもしれません」

(文=Business Journal編集部、協力=稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長)

提供元・Business Journal

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