はたして、どのような政府が望ましいのでしょうか?

ここで、考えていただきたいのですが、「政府」「国家」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

例えば、「日本」「日本国」と聞いて、思い浮かぶものは何でしょうか?

富士山や、四季の移り変わり、桜、神社、自分の故郷の風景、家族、着物、アニメや漫画…を思い浮かべた人もいるかもしれません。

もちろん、それは日本を象徴するものだと思います。

しかし、「どのような政府が望ましいか?」という今回の話は、そのようなものではなく、実際に私たち日本国民の生活に影響を及ぼす「権力」としての「国家」「政府」のことです。

そして、それらは具体的なものです。「政府」という塊がボヤ~っとどこかにあるわけではありません。

現在でいうと、政治家(岸田文雄首相や河野太郎大臣や加藤鮎子大臣や麻生太郎さんや石破茂や公明党の山口代表など)と官僚組織のことです。トップの岸田首相とその周辺にいる人たちのことです。彼らが、ここでいう「政府(国家)」です。

彼らは実際に権力を公使し、さまざまな法律を通じて、国民に命令をしています。

このような「政府(岸田首相たちの権力)」をイメージしながら、どのような政府が望ましいかを考えていただきたいと思います。

政府の規模(権力)については、以下のように分類できます。

下にいくほど、政府(国家)の権力が大きく個人の権利が小さくなります。

1.「アナルコ・キャピタリズム」(無政府資本主義):国家は不要とする考え方

2.「最小国家論」(夜警国家):国家の役割は、国防、裁判、治安維持、外交のみだとする考え方

3.「古典的自由主義」:夜警国家の役割に加え、最低限の福祉を行う小さな政府。 財政政策(資源の最適配分、所得分配、経済の安定化)は政府の任務ではない(自由市場のほうが、よりよく実現できる)と考えます。

4. 福祉国家:大きな政府。国家による個人に対する後見主義的(パターナリズム)な考え。 このような国家では、資源が効率的に使われないだけでなく、経済活動や自己実現の自由が失われるようになります。現在の日本は、この福祉国家(大きな政府)です。 ちなみに、元自民党の国会議員・山本勝市博士は、その著書「福祉国家亡国論」(※1)で、福祉国家は個人の自立精神や家族・隣人間の共助の精神を破壊する亡国への道だと批判しています。

5. 社会主義国家:社会主義、共産主義の社会。旧ソ連や北朝鮮など。

非常に大雑把ですが、以上のように5つに分類できます。

皆さんは、どのような政府(国家)が望ましい、正当なものだと考えますか?

これは、実際の国家の規模・役割を考える上でもそうですが、政治・社会の問題をどのように解決していくかを考える上で重要です。

何を「正義」「善」だとみなし、何が「正論」だと考えるかは、根本的な価値観(思想)によって変わってくるからです。

例えば、社会主義者にとって、富裕層から多額の税金を取ることで格差を是正することは「正義」「善」だといえるのかもしれません。

しかし、自由主義者にとっては再分配のために税金を取ることは財産権の侵害となり、「不正義」「悪」になります。(※2)

自分にとって当然の「正論」「正義」「善」は、他の人にとってはそうではない場合があるのです。各人の理想や思想によって変わるのです。

皆さんは、どのような政府(政府の権力の規模)が望ましいと考えますか?

(※1)山本勝市博士の「福祉国家亡国論」は以下です。非常に名著なので、ぜひお読みください。現代の日本の社会保障問題を考えるうえで必須だと思います。社会保障制度の導入時にその根本問題に警鐘をならしていた本です。

『福祉国家亡国論 呉PASS復刻選書44』

(※2)自由主義者は何を重視するかについては、以下の記事もぜひ御覧ください。

編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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