店員の労力・手数を極力減らすためのもの?

 一般的に飲食店側にとって、食事後の食器について「店員が席まで行って下げる」「顧客に返却コーナーまで運ばせる」「顧客に返却コーナーまで運ばせ、細かい仕分けまでさせる」のどの形態にするのかというのは、どのように判断するのか。また、どの形態にするのかによって、店側の労力・コストは大きく変わってくるものなのか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。

「どの形態にするのかは、業態や客単価によって判断されるものであり、店舗の広さや造りによる導線、オペレーションによっても変わってきますし、労力や人件費に影響してきます。低価格帯のお店はできるだけコストカットしなければならず、チェーン店のようなどこにでもあるお店は材料費にコストをかけてお得感を出さなければならず、人件費を削るための努力が必要となります。

 チェーン系や大箱系では、

・入口の発券機で席の案内カードを発券
・着席したら備え付けの注文機や、お客のスマホでQRコード読みとってオーダー。もしくは入店時に券売機でオーダー
・ロボットやレーンによって料理やドリンクを提供
・お会計は自動精算機

といったかたちで、できるだけ人を介さないことで人件費削減を目指しています。全部は無理でも店舗の広さや方針から、できそうなことを導入しています。松屋の方式も店員の労力・手数を極力減らすためのものでしょう」

 では、松屋の対応をどのように評価すべきか。

「『仕方がない』と考えています。松屋のようなファストフード業界は、できるだけ低い価格でボリュームや品質を維持しなくてはなりません。サービスにも力を入れてほしいと思いますが、全部に力を入れると価格に跳ね返ってしまいます。何かを切り捨てなくてはならないとすれば、やはり人件費となり、その際に可能な限りのセルフサービスをお客さんにお願いするのは仕方ないと思います。マクドナルドをはじめ、お客が返却時に仕分けをする形態はファストフードチェーンでは珍しくなくなっており、慣れている人もいるのではないでしょうか」

 物価上昇と人件費高騰、人手不足が進むなか、特に低価格のファストフードでは、このように客側の手間を増やす動きが今後も増えてくることは、客側も受け入れていくべきなのか。

「特に低価格のファストフードでは、客側の手間を増やす動きは増えてくると思います。店側も客に嫌われないよう、できるところは機械化を進めたり、導線を工夫したりしています。既存店舗では返却口と洗い場の導線、配置の関係があったり、返却口のスペースの関係もあって、返却時に仕分けをお願いする形態があるのでしょう。一方、新規店舗では広さや高さのある返却口を設け、そのすぐ裏にシンクや食洗器、分別ごみ箱を配置すれば、お客側が仕分けをせずにそのまま返却棚に置くかたちで済む場合もあるでしょう。この部分がオートメーション化されるかもしれません。

 店舗によって違いが発生しますが、その店を使うか使わないかの選択権は客側にあります。価格と見合わない品質、ボリューム、サービスだと思えば利用しなければいいので、受け入れるか受け入れないかはお客次第です。お店側もそれは重々承知していますので、都度、判断をしていけばいいのではないでしょうか」

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

提供元・Business Journal

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