牛丼チェーン「松屋」では、客が食べ終わった食器を返却口まで運び、食器やコップ、箸、食べ残しなどの細かい「仕分け」をする形態の店舗が存在し、一部ネット上では「食器の返却どころか、細かい仕分けまで客にやらせるようになった」と話題を呼んでいる。なぜ松屋はそのような形態としているのか。また、客が食べ終わった食器の回収を店側がどのように行うのかによって、店舗オペレーション上の負荷・作業効率が大きく変わってくるものなのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 全国に1000店以上を展開する松屋。昨年1月には根強いファンが多い「オリジナルカレー」の代わりに一気に200円アップさせた「松屋ビーフカレー」を680円(税込み/以下同)で発売したかと思えば、8月には100円値下げして味を変更し、ファンの間でその味をめぐってさまざまな評価が飛び交ったことは記憶に新しい。9月にはランチセットの提供終了を従来の15時から14時に前倒しして1時間短縮し、「牛めしランチセット(並盛)」を550円から500円へ50円値下げしたものの、単品注文では80円の玉子がセットから省かれたため、事実上の値上げではないかという声も出ていた。

 昨年以降は1000円超え、1000円近いメニューを相次いで投入するなど、その「高価格路線」も話題に。昨年11月に期間限定で発売された「ビーフ100%ハンバーグ定食」の各種メニューが軒並み1000円を超えていることについて、SNS上では「もう貧乏人は利用できない」「その値段なら違う店を選ぶ」などと悲鳴が続出。その後も、期間限定で「ビーフシチュー定食」(990円)、「ブラウンソースチーズハンバーグ定食」(990円)、「シュクメルリ鍋定食」(930円)、「チーズシャリアピンソースハンバーグ定食」(1050円)などを相次いで投入してきた。

 このほか、松屋といえば注文用タッチパネル式券売機の「使いにくさ」が、たびたび話題になることも。昨年4~5月頃には一部メディアでニュースとしても取り上げられ、昨年12月の段階でもSNS上では

「半泣きで券売機の使い方ググってる人」

「やたら重いし無駄に操作回数多いし不便」

「牛めし2個持ち帰りしようとしただけでテンパった」

といった声があがっていた。

細かく置き場所が指定

 そんな松屋で、返却口で客が食器などを細かく仕分けしなければならないタイプの店舗が存在していると話題に。「食器の仕分けにご協力お願い致します」と書かれた返却口で、

・牛丼どんぶり(サイズごと)
・皿類
・コップ
・味噌椀
・サラダボウル
・飲み残し
・可燃ごみ
・トレー

ごとに細かく置き場所が指定されている店舗もある。食器は重ねておくよう指示され、飲料の飲み残しを捨てる「飲み残し」コーナーがある一方、「味噌椀」のところには「飲み残しはそのまま」との注意書きがあるケースもあるという。

 松屋は券売機で発行される食券を客が持って席に着き、料理が出来上がると、受け取りカウンター上部にある画面上で食券に書かれた番号が出来上がりのステータスになり、客が自らカウンターに行き料理を受け取るという仕組みだ。松屋の公式アプリ「松屋モバイルオーダー」を使って来店前にスマホで注文と支払いを行い、表示されたQRコードを券売機にかざして食券を発行させることも可能。そして食べ終わった食器は返却コーナーに持っていくスタイルの店舗が多い。

 参考に他の牛丼チェーンを見てみると、吉野家には券売機はなく(一部店舗を除く)、同店で見慣れたコの字型のカウンターかテーブル席などに座ると店員がお茶を運んできてくれ、口頭で店員に注文し、食べ終わった食器はそのままテーブルの上に置いたままにして退店する方式の店舗が多い。また、すき家は、入口付近の券売機、または席に置かれたタブレットから注文をするが、店員に口頭で注文することも可能(来店前にスマホアプリから注文・支払いすることも可)。食事後は食器をテーブルに置いたまま退店するが、吉野家もすき家もセルフ方式で客が返却口に持っていく店舗もある。