公益性のあるアプリも短期間で開発可能

前章では農業分野を例に挙げて解説したが、Mendixは多様な業界に応用できる。たとえば不動産、保険、飲食などの業界だけでなく政府にも活用されている。

ここでまた一例を上げたい。Mendixで制作した「DOREMI App」というクラウドファンディングアプリだ。

クラウドファンディングといっても、このアプリの場合は新製品を提供するのではなく公益性のあるプロジェクトを中心に掲載している。Orangeleafが取り組んでいる人材開発に関しては後述するが、そもそもそれ以前に日々の食べ物に困っている、小学校に行く余裕がないという子どもがアジア諸国には多く存在する。

そうした人々の手助けをする募金アプリを開発しようと考えている人は多いが、そのためにはまずプログラミングに精通した高度人材を手配しなければならない。それでは人材募集のためだけに時間も費用もかかってしまう。

「DOREMI Appの場合は40日で制作しました。つまり、公益性のあるアプリを高度人材を招聘せずに短期間で開発できる用途にもMendixは使えます」Chung氏はそう語った。

マレーシアでの人材開発に注力

もちろん、ローコードによるプログラム編集にも知識は必要だ。

今年4月、セランゴール州政府の運営するセランゴール技術スキル開発センターがOrangeleafとの事業提携を締結。ドイツで開催された「産業展示会ハノーバーメッセ2024」で調印式を行った。

今回の提携に伴い、OrangeLeafは技術人材のギャップを埋めるためのプロジェクトを発表した。

・Mendixトレーニングプログラム:Mendixに習熟した人材を育成する
・イノベーションラボ:共同プロジェクトを促進し、技術の進歩を推進する
・メンターシッププログラム:業界知識の交換を促進する
・コミュニティへの接続:デジタル変革の取り組みへの意識を高め、参加を促進する

こうした取り組みを通じて、今後Orangeleafはマレーシアでローコード人材の育成へコミットする方針だ。

ローコード人材の育成が進めば、あらゆる業界でソフトウェア開発におけるスキルの格差が縮小され、真の「DX化」が進むだろう。今後もOrangeleafの取り組みに注目したい。

(文・澤田 真一)