過去の失敗

 一部で注目されているのが農林中金の運用資産構成だ。債券が5割を超える一方、株式はわずか3%となっている点について、一部ネット上では以下のように疑問の声があがっている。

<株と債権どっちにもヘッジしてバランス取るのが普通なんだが。特にアメリカ株は天井近いし>

<近年の相場で損するって素人でも難しい>

<この時合でマイナス出すとか絶望的にセンスない>

<この相場で海外投資してどうやって負けられるの>

<空前の株高なのに>

 農林中金がこのような運用資産構成を維持しているのは、過去の大きな失敗も影響しているという。

「2008年のリーマンショックの際に農林中金は米国の低所得者向け住宅ローン投資で巨額の損失を出し、その年度の決算は5000億円超の最終赤字となった(09年3月期)。今回の債券の含み損による赤字を受けて農林中金はJAを引受先として1.2兆円の資本増強を行うとしているが、リーマンのときもJAを引受先として1.9兆円の資本増強をした。この失敗を受けて変動リスクが高いとされる株式を減らし、低リスクとされる米国債をはじめとする海外債券を増やしたが、あまりに極端なポートフォリオになって高金利に耐えられない資産構成になってしまった。そこに世界的な金融緩和の縮小による金利上昇が始まり、火を噴いたということ。

 組織の性格的に幅広く企業への投融資ができないなかで、預金で集まった巨額の資産を運用してなんとか一定の利回りを確保しなければならないという特殊事情を抱えていることは理解できるものの、素人的との誹(そし)りは免れないだろう」(メガバンク行員)