ADHDの方の良さが出せる環境について

ーーーADHDの方の仕事選びのポイントは?

まず、1円単位で数字を合わせるような経理や、少しのミスも許されない厳密さが求められる医療系の仕事は避けた方がいいです。

営業のように、みんなから「ありがとう」と感謝の言葉を直接もらうことが多い仕事が良いかもしれません。

あと、図書館司書をしているADHDの方って意外と多いんです。整理整頓できないのになぜできるんですか、と聞いてみると、全て番号管理されていて、整理整頓の仕組みが出来上がっているところに自分が本を当てはめるだけだからできるみたいです。

なので、仕事の仕組みが整っている職場なら合っているかもしれません。ですが、完全にマニュアル化されたルーチンワークの仕事だとADHDの方の良さが出ないです。毎日同じところに出社して決まった手順で仕事をするのはあっという間に飽きちゃう、工場勤務がすごく嫌だった、というADHDの方がいました。

そんなに厳密なことを求められなくて、ゆるめに整っているくらいの職場、なおかつ、管理・監督する人がいる環境だと、ADHDの方は良さを出せますよ。

企画職も、どんどん新規のアイデアを出すのが得意なADHDの方にはおすすめです。ただ、企画を出しても継続することが苦手なので、そういった作業は部下や経理の方などに外注したりしてる例は多いです。

あと、新聞記者の方も多いです。メディア制作は短い納期で同時並行する瞬発力が要求されたり、フットワーク軽く、全国取材でもドンといろんなとこに飛び込めるからでしょうか。

意外なところだと消防士さんも結構います。衝動性が強いので、火災現場でも恐れずに飛び込めるし、毎回状況が違うから続けられるという声を聞いたことがあります。

ご自身がADHDだと自覚されている方は、こういう観点で仕事を選ぶと少し楽になると思います。

前編でご紹介した「すーぷもだ」で対策を取れば、「自分がだらしないせいなんだ」と自分自身を責めることなく、「ADHDという性質のせいなんだ」と正しく理解でき、自分にネガティブなレッテルを貼らず、うまく乗り越えられますよ。

ーーー最後に、中島さんが認知行動療法や時間管理術を広めていく中で、伝えたいメッセージとは。

時間管理というと「時間に縛られる」イメージを持たれる方も多いのですが、逆に「時間を使いこなす」「あなたは時間管理王国の王様になります」というものなのです。特に、社会人はTo Doをこなすことに縛られがちですが、To Doをこなすことを目的としないでほしいです。時間管理術は、やるべきことをさっさと終わらせて、やりたいことにエネルギーを注ぎ、自分の目標や夢を叶えていくためのものなのです。

5月29日(水)発売の中島美鈴さんの著書『マンガで成功 自分の時間をとりもどす 時間管理大全』の購入はこちらから