いつも時間ギリギリで遅れてしまう、すべきことの優先順位がつけられない、自分の時間が作れない、スマホに気を取られてすべきことができない……そんな方はADHDの傾向があるかもしれません。

インタビュー後編では、認知行動療法の専門家である臨床心理士・中島美鈴さんに、ADHDの特徴や合う仕事などについてお聞きしました。

ADHDの方の日常生活とは?

ーーー中島さんはご自身がADHDだと気づかれたそうですが、具体的にADHDの方の日常生活での特徴とは?

身支度など、多くの人が義務だと思ってやっていることが面倒くさくてできない。なので、いつもバタバタして身だしなみが整っていなかったり、捨てなきゃいけないゴミが溜まっていて部屋が汚かったりします。

会社だと、不用意な発言や要らない一言を言ってしまう。昼休みにみんなでご飯を食べている時も、割と口数が多くて、誰かが喋っているのにかぶせて喋り出しちゃう、会話泥棒をしてしまう。あと、気が散りやすいからケアレスミスが多く、机の上が汚い。パソコンのデスクトップのファイルがたくさんあったり、スマホの写真フォルダもメモリ不足になっていたりしています。

休みの日なら、旅行に出かけるとてんこ盛りに予定を入れてしまって、家に帰るとぐったりしてしまいます。

ギャンブルにハマってしまう人も多いです。金銭管理も得意じゃなくて、あまり貯金がない。あとは、記憶力の弱さがあります。すぐに約束を忘れてしまったり、忘れもの・なくしものが多い。カッとなりやすくて人間関係が怒りのせいで途切れてしまってるみたいな人もいますね。

新規のアイデアを出すことや社交的なところがADHDの長所

ーーーご自身がADHDだと気づかれたきっかけは何だったのでしょうか。

結婚してから、本格的に家事をやらないといけなくなった時に気づきました。それまで1人暮らしでほとんど自炊をしていなかったのですが、家族のために料理をする段になった時、1週間分の献立を立てて、買い物リストをぎっしり手帳に書いていたんです。書かないと覚えていられないので。

そのメモをほかの臨床心理士の友人が見た時、「中島さんだいぶきてるね。普通の人はこんなことしなくても日常を送れるよ」って言ったんです。

そこで初めて、ほかの人と自分が違うことに気づき、ADHDの特徴である記憶力の弱さを自覚しました。

ーーーADHDの方が得意なこととは?

新規のアイデアを出すことです。会議でブレインストーミングをさせたら、アイデアを最初にポンポン出せます。

あと、物おじしない。人見知りなく、社交的で明るい人が多いですし、大人が忘れてしまったような好奇心が強く、新しいものに飛びつくので、アイデアマンの性質を生かして起業家になる方が多いです。

衝動的だけれど行動力があるので、優秀な秘書がついてくれていたら、ミスをカバーしてもらいながら危険を顧みずに新しい企画を作ることができます。

プランは立てられないけれど瞬発力はあるので、短期間で何かをやらせるのも合っています。

ADHDの方は、自分の長所を生かしつつ、短所をカバーできるような仕組みを作ったり、他の方にサポートしてもらうことがすごく大事なんです。