世論調査の結果、自民は4月に比べて4ポイント下落の24%、立憲も2ポイント下落の16%、一方、増やしたのが4ポイント増で13%となった維新をはじめとするそれ以外の全ての野党です。泡沫政党の社民党ですら1ポイントちゃんと増やしているのです。これは何を意味しているのでしょうか?

国民がそれぞれがおかれている立場を考え、主義主張をきちんと考えるようになったのではないかと思うのです。かつては政党政治で中身は何でもよいので〇〇党を支持しておけ、と頭ごなしに決められており、それに従う人が多かったのにそれぞれの立ち位置を考え、自分の一票の価値を考えるようになった、そんな風に感じるのです。

わかりやすい例えとしてヒットする歌謡曲があると思うのです。かつてはテレビラジオで一押しをガンガン流しました。もちろん音楽業界の政治的な背景がそこにあるわけですが、国民に一種の洗脳をするわけです。SMAPや嵐にAKBを。ところが音楽番組が減り、好みの音楽が分裂化すると国民的ヒットは激減し、紅白歌合戦を見ても誰だかさっぱりわからない、そんな世界になりました。

政治も同じで自民党と社会党とか、民主党といった昔の名前から「へぇ、そんな政党があるの?」という時代になったわけです。そんな中、壊れかけた自民党で岸田さんは良く踏ん張っているとは思いますが、どこかで自民党の構造的改革をしないと存在感が薄まるのは目に見えています。

自民党はどこへ行く? 自民党HPより

かつて自民党が割れたのはロッキード事件、リクルート事件で暗たんな頃だった1991年頃に自民内部で改革の声が出るものの宮澤喜一は否定的でした。そこに飛び出した東京佐川急便事件に絡み、金丸信党副総裁が逮捕されたことで頂点に達したのがきっかけでした。

今の裏金事件とはレベルが違います。そこで自民が分裂するも結局うまくいかなかったという歴史から「自民は分裂しないさ。だってあの時ダメだったじゃない」という説明になるのです。ですが、あの時と今は全然違うのです。SMAPも嵐もAKBも元に戻ることはなく、過去の産物になったのです。

そう、今の時代は過去にしがみつかないのです。だからこそ、腐った部分とまだ鮮度が残っている部分は切り分けなくてはいけないのです。

かといって小沢一郎のように飛び出す自民党幹部ももういないのでしょう。だとすれば自民は全く持ってダメで着実に存在感を失っていくことになります。自民党が候補者を出さない大型選挙をいつまで続ける気なのでしょうか?政治家や政治評論家も好きなことだけを言っているけれどほとんど外しまくり、それでもしれーっとしていること自体も問題だと思います。

日本の政治勢力地図は変わるとみています。そして政党が増え、誰も単独で主導権を取れない政党ばかりで大連立を組んではうまくいかない、そんな政治が今、再びやってきてしまいます。それとも自民党が石原さんのような文鎮として機能させることができるのか、極めて重大なところに差し掛かっているといってよいでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月28日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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