競合にない個性は「Naked Difference」と「Naked Causes」

この状況で、今でもNakedの独自事業と呼べる取り組みが「Naked Difference」だ。共同設立者であるGreybe氏は、Naked Differenceのシステムを「加入者からの請求総額が少ない年には、余剰の保険金を当社の利益とするのではなく加入者が選んだ“Cause”に回します」と説明している。

恥ずかしながら筆者は、「Cause…原因?意味がわからない」と思ってしまった。しかし、Oxford英英辞典で「cause」を調べると、「an organization or idea that people support or fight for (人が支援する団体/組織や戦ってでも守る思想)」とある。ここでの「cause」は非営利組織や社会貢献団体のことで、Naked Differenceは余剰の保険料を国内の各種活動団体に寄付するシステムだったのだ。

Image Credits:Naked

利用者は保険加入時にアプリのプロフィール画面で自分の「cause」を選ぶことができるようになっている。候補となる団体の一覧は「Naked Causes」で確認でき、2024年4月の時点では青少年支援、動物愛護、環境保護などの活動を行う13団体から選択可能だ。

「Naked Difference」関連動画は2年間更新なし?

NakedのYouTubeチャンネルには、Naked保険加入者であり南アフリカで活躍する俳優Simoné Pretorius氏のインタビュー動画が投稿されている。同氏がNaked Causesから選んだのは、捨てられた赤ちゃんを保護して里親を探す団体「Door of Hope」だ。

Door of Hopeには日本の「赤ちゃんポスト」と同じ設備があり、何らかの事情があって赤ちゃんを手放さざるを得ない女性たちに危険で不衛生な路上以外の手段を提供する。


Pretorius氏はNaked社について「利益より“人”を優先することで業界を変革していて、好感が持てる企業」だと語っている。同社はこのNaked Differenceについて、保険会社と加入者、それらを取り巻く社会が同じ方向を向き、世界全体をより良い方向へ導く取り組みであるとする。

いい話ではあるのだが、この動画では寄付金額については明らかにされていないし、再生回数も公開から約4年で2000回を超えたところと、やや寂しい数字だ。しかも、Differenceに関する動画は2022年9月以降アップされていない。それ以外のトピックを扱う動画の投稿は頻繁で大量なだけに、優先順位が低いのだろうか。

南アの保険市場はまだまだ未開拓で今後も二桁の成長率が見込まれるが、同時に競争は激化する一方だ。「Naked Difference」を大きな個性とする同社も、競合との差別化を図るうえで更なる工夫が求められる段階にきているのかもしれない。変革者たるNakedの今後に注目したい。

引用元:Naked

(文・Gocha/YouTube)