その民放テレビはランキングで全滅しました。10年か数年前までは、全国紙、テレビ局はどこかが上位50位か100位に入っていました。地域別のランキングで「東北」の部でやっと宮城テレビの名前を見つけました。CMが延々と続き、画面をみているのも嫌になる。若い世代は特にそうでしょう。
新聞は全国紙がかつては上位100位に複数社が入っていました。昨年も今年もゼロです。「北海道」の部に入っていた北海道新聞も姿を消しております。10年前は1000万部を維持したいといっていた読売は1月の部数調査(ABC部数)で607万部で、前年比45万部減です。
800万部を誇っていた2位の朝日は349万部で30万部減、毎日は158万部で23万部減です。自前の印刷工場、販売店網を持てる規模でなくなってきました。脱落していく新聞社がでてきます。
日経も138万部で23万部減です。もっとも経済情報はデジタル化しやすく、日経のデジタル版は有料90万部で、紙と電子版を合わせると231万部だそうです。新聞経営は紙新聞、電子新聞を合わせて考えるべきでしょう。
それにしても、紙新聞の部数の減少は急激です。若い世代はまず新聞を読まず、ネット上で情報を取る。大学生はおろか学校の先生も新聞を取らない。新聞世代だった高齢者層が80歳代になれば、購読を打ち切っていく。これらが重なって、購読者数が雪崩をうったように減っていく。
新聞社が販売拡張団を編成し、個別訪問でビール券、洗剤などを提供し、契約とる古典的な手法に頼っているうちに、時代が変わってしまった。ビジネスモデルの改革、更新が時代のテンポにあっていなかった。
最近になって、新聞代金のクレジットカード決済を新聞社が慌てて推奨しています。コロナ危機、マンション化の進展で購読者との対面、接触が難しくなって、契約期間が切れたら、それ以上、更新できない。カード決済にすれば、だらだらと契約期間がつながっていくことに賭けたのです。その切り替えも遅すぎた。
新聞社は外国人の経営者、記者をほとんど採用しない。他業界からの人材採用もほとんどない。新しいビジネスモデルをなかなか開発できない。新聞が最も優位であるはずの情報収集・発掘・編集能力は、まだまだ必要です。新聞経営の閉鎖性、後進性を何とか改善してもらいたいのです。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年4月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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