また、年功序列にも問題があると指摘します。

「年長者に失礼を働いてはいけないという意識もイノベーションが起きなかった土壌としてある。以前、先輩たちからある技術を説明する資料を作るよう求められ、文句を言ったことがある。こういう説明は時間の無駄だからやめ、分からないならまず自分で勉強して意見を言うべきだ」(インタビュー記事から抜粋)

年長者にばかり配慮しすぎるのは企業だけに留まらず日本社会全体の問題です。例えば健康保険証を電子化しようとすると年配者が対応できないと反対する。このようなことを続けていると、ネット社会の変化に柔軟に対応することができません。

リクルート社がこの10年で爆発的な成長を遂げることができたのは、不完全であっても全力でやってみる企業風土と年功序列に囚われない人事制度を維持することができたからと考えることができます。

出木場久征社長はリクルートという会社のためではなく「こんなことが世の中でできたら楽しいな」という気持ちで仕事をしているそうです。転職したいという優秀な社員も引き留めず送り出し、また戻ってくれば一緒に楽しく働く。

大学のサークルのようなノリと事業に対する真剣なコミットメントの絶妙な融合こそ、リクルートの強味であるように感じました。

すべての企業がリクルートのようになるべきとは思いませんし、なれるとも思いません。

しかし、日本企業に足りない何かを教えてくれているように思います。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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