先日発表された3月の消費者物価指数は指標となる生鮮品を除いたコアが2.6%、エネルギーも除いたコアコアが2.9%、総合が2.7%でした。私は6月から7月にかけて日本の物価が3%を超えていると予想しています。理由は簡単です。政府が電気ガス代の補助金を5月で止めるといっているからです。つまり6月からそれらの料金は跳ね上がります。しかも暑い夏、冷房を目いっぱい使う夏に補助金が無くなるのです。相当の反発がありそうなのでまた方針転換するかもしれませんが、現状、補助金が無くなるとすればこれで物価がおおむね0.5%上がるのです。

すると3月の消費者物価指数のどのカテゴリーから見ても0.5%ポイントを足せば3%は超えてきます。

植田日銀総裁がアメリカで「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と発言しました。アメリカでよく使われるタカ派、ハト派の表現を使うなら黒田氏はタカになろうとしたハトで、植田氏はハトのような気遣いを見せるタカではないかと思っています。

植田総裁 NHKより

植田氏は様々な情報を持ち合わせている中で物価高がディマンドブル型から再びコストプッシュ型に変わりつつある可能性を見ているのでしょう。コストプッシュ型、あるいはスタグフレーション型とも言ってよいのかもしれませんが、輸入に頼る日本において海外物価の上昇と円安のダブルパンチで物価が上がることを考えているように感じます。

では政府はこの物価高にどう対応するのでしょうか?個人的には日本は過去30年以上、物価に対して非常にセンシティブになりすぎた、これがある意味反省点だと思うのです。日銀も政府も物価の上昇に対する国民からの圧力に屈してきた、これが実情だと思います。なぜかといえばバブル経済の崩壊後、賃金が下がり、生活の安定感が失われ、現状維持がやっとという国民生活に対していかなる理由にせよ物価の上昇は生活苦を演出し、政府が持たないという認識の循環だったのです。