「自分と向き合い、周りの人たちを大切に」
ー靭帯断裂防止という観点で、この体の部位のトレーニングは重点的にやったほうが良いというものはありますか。それから、靭帯ケアのために摂取したほうがいいと思われる栄養素があれば教えてください。
栗島:意識して摂っているのはタンパク質です。アスリートであれば誰もが意識して摂ると思いますが、食事だけでなくプロテインでも補っていますね。私は膝を怪我したので、トレーニング面では下半身の大腿四頭筋(膝の上の筋肉)やお尻といった大きな筋肉をつけようと思って、その部位の筋トレに取り組んでいます。あと、体全体のバランスを考えて下半身だけでなく、上半身の筋トレもやるようにしています。
ー栗島選手と同じ怪我に悩まされている方々に向けて、メッセージをお願いします。また、ご自身の経験を踏まえ、困難・試練に直面したときに大切にすべき物事の捉え方や考え方を教えてください。
栗島:同じ怪我(前十字靭帯断裂)をしている人に伝えたいのは、この怪我は治るし競技復帰もできるということです。そのためにはしっかり自分と向き合わないといけないですし、ちゃんとしたリハビリも必要です。何か不安があるなら、信頼できる人を見つけるのも大事だと思います。
競技復帰するにあたって、何人の方にお世話になったか分かりません。親身になって動いてくださった方々が沢山います。自分ひとりの力では絶対に無理でした。周りの人のサポートに感謝する、周りの人たちを大切にしながらリハビリに励む。これが一番重要だと思います。自分自身と周りの人たち、この両方を大事にしましょう。
人生の半分以上を過ごした浦和への思い
ーいつも熱い応援をしてくれている浦和サポーターについて、どう思っていらっしゃいますか。
栗島:どのクラブと比べても、(応援に)すごく熱量がありますね。シンプルに言って、応援の声が大きい。私たちはその声援のおかげで、自分の実力以上の力を発揮できている。こういうときがあると思っています。
ージュニアユース時代から浦和一筋の栗島選手にとって、このクラブはどんな存在か。また、浦和レッズが栗島選手にもたらしてくれたものは何でしたか。
栗島:小学6年生のときにセレクションを受けて、私はレッズレディースに入りました。12〜13歳からこのクラブにいて、人生の半分以上の年月をここで過ごしていますが、特に中学生・高校生時代はサッカーだけでなく人として大切なことを沢山の指導者から教わりましたね。これについてはとても感謝しています。
私と一緒に下(ユース)から育ってきた選手が今のトップチームには沢山いて、どの選手も心から尊敬できます。これは(他クラブから)レッズレディースに加入してくれた選手もそうですし、年上や年下関係なくです。尊敬できる選手たちがいるから、自分も頑張れています。
レッズレディースはリーグ優勝しなければならないクラブだと思いますし、これを達成するべく自分に何ができるかをずっと考えています。
ー栗島選手のプレーを拝見して思ったのですが、長年浦和レッズ(現J1リーグ所属)の中盤を支えた鈴木啓太さん(2015年現役引退)とプレーの特長が似ていますね。浦和一筋という点、派手なプレーよりもチームのためになることを最優先に考える姿勢もお二方は共通している感じがします。私の記事でそのように書かせていただいたのですが、いかがでしたか。
栗島:鈴木啓太さんは浦和レッズを代表する選手でしたし、「水を運ぶ選手(※)」と言われていましたよね。そういうふうに思ってくださる方もいるんだと思いましたし、似ていると言ってもらえたことが本当に嬉しかったです。
(※)黒子役として献身的にプレーする選手を指すフレーズ
ー2023-24シーズンのWEリーグで、レッズレディースは優勝争いを繰り広げています。シーズン終盤戦や優勝争いへの意気込みを、サポーターに向けてお願いします。
栗島:3月の連戦でも本当に多くの方が応援してくださって、おかげさまで頑張る力を持てました。私たちも目の前の試合に勝つことだけを考えましたし、それが3月の7試合で6勝1分けという結果に繋がりました。
今まで通り、目の前の試合に勝つことだけを考えます。私たちが勝って、サポーターの皆さんが笑顔で帰れる試合をひとつでも多くしたいです。ピッチに立つ11人だけでなく、レッズレディース全員とサポーターが力を合わせれば、この力に勝てるチームはないと思うので、自信を持って(シーズン終盤に)臨みたいです。目の前の試合に集中して、沢山の勝利をサポーターの皆さんと分かち合いたいですね。
(了)