■「強い意志を感じる」と称賛の嵐
「クリスマス」「バー」という2つのワードを見ると、やはり「デートで利用するカップル」を連想する人が圧倒的に多いことだろう。そうした背景もあってか、件の看板は見た者に多大なる衝撃を与えており、前出のポストは投稿から1日足らずで2万件近くものリポストを記録。
他のXユーザーからは「字が力強くて笑った」「これは強い意志を感じる」「絶対に良い店だ。ここで働きたい」「即興の張り紙でなく、しっかりデザインしたポスターな当たり、店の本気度が分かる」など、称賛の声が多数寄せられていた。
なお、ポスト投稿主・みょーいさんに発見時の感想を尋ねたところ、「純粋に面白いなあ、と思いました(笑)」「パートナーがいない人たちはクリスマスにカップルのことを羨望したり、恨んだりしますが、これほどハキハキとした皮肉は見たことがなかったので、珍しく、潔いなあと思いました。こういうお店があっても良いと思いますね」とのコメントが。
そこで今回は、まるでカップルに村を焼かれたかのような文面の看板の詳細について「Bar Oath」(バー オース)のオーナーに詳しい話を聞いてみることに。
すると、件の看板が決して「リア充爆発しろ」といった負の感情から生まれたワケでないことが判明したのだ…。
■「男性の下心」に思わずドン引き
今回の取材を実施したのは、25日の昼ごろ。バーからすればクリスマス当日という繁忙期の真っ只中にあるはずだが、同店オーナーは笑顔で取材を快諾してくれた。
Oathは2020年11月19日よりオープンした店舗で、話題の「カップル入店拒否!」看板は、21年よりクリスマスシーズンになると店頭に設置されるものと判明したのだ。
同看板を設置した背景について、オーナーは「3つの理由」が存在すると話す。
まず1つ目は「常連が足を運びづらくなる」という点。こちらの補足として、オーナーは「クリスマスの時期、カップルを歓迎するバーはたくさんありますので、当店では『カップルは他店に任せる』というスタンスをとっています」「『クリスマス料理』と聞くと、1人で食事をしている様子を思い浮かべる人は少ないと思いますが、当店では単身のお客様にクリスマスメニューやオリジナルカクテルを提供し、『1人でクリスマス料理を食べても良いんだ』という気分を楽しんで頂いています」とのコメントを寄せてくれた。
2つ目の理由には、バーという空間を「悪用される」ことへの疑問と不満を挙げる。
オーナーは「男女カップルでいらしたお客様の中には、女性のお客様がお手洗いに立たれた際、こっそり度数の高いお酒を注文される方もいらっしゃいます」「どうにか女性を酔わせたい…という下心がバーの従業員から見ても感じられ、そうしたお酒の飲み方(飲ませ方)の舞台として、バーが使われることには嫌悪感を抱いております」と、説明していた。
そして3つ目の理由は「長く居座るカップルが多い」という点。
こちらは2つ目の理由と似通う部分があり、オーナーは「普段バーなどでお酒を飲む機会の少ない女性の中には、度数の低いカクテル類を愛飲されるお客様も多くいらっしゃいます」「すると、女性を煽ってどうにか多くのお酒を飲ませようとする男性も見られるのです」と説明していた。
「クリスマス」という時期も相まって、浮かれた気持ちで無茶な飲み方・飲ませ方をする男性も少なくないのだろう。しかしこうした振る舞いは(店のカラーにもよるが)、静かに飲みたい他の客や、純粋にバーの空気を楽しみにきた女性に対するマナー違反である。