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ある仕事に取り組もうと思ったのに、つい先送り・先延ばしをしてしまう。そんな時、自分はなんて意思の力が弱いのだろう。そう自責する人も多いだろう。しかし先送りしてしまう本当の原因は、実は仕事に取り組む時間帯・タイミングにある。

そう語るのは時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より再構成して、つい仕事を先送りにしてしまう原因を、脳科学の観点から解説します。

脳科学で考える時間のとらえ方

人は何かしらの作業に着手したり、物事を考えたり、意思決定をするときに脳のエネルギーを使っていると考えられている。ちなみにこの「脳のエネルギー」はタスク管理界隈では「認知リソース」などと呼ばれている。なのでここでは認知リソースと呼ぶことにする。

認知リソースは限りある一種の資源だ。起床直後がフル(満タン)の状態で、朝起きてから時間の経過とともに、何もしなくてもどんどん消費されていく。

認知リソースはタスク管理界隈では有名なゲーム「ドラゴンクエスト」のMP(マジックポイント)にたとえられている。たとえばドラゴンクエストでは一番弱い火炎呪文の「メラ」を使うより、一番強い火炎呪文である「メラゾーマ」を使うほうがMPを消費する。

これと同じでタスクに取り組むときや物事を考えたりするときも、その内容によって認知リソースの消費量も変わるのだ。

簡単な事務処理作業に取り組むより、頭を使う企画書作成のほうが認知リソースを消費する。またMPがなくなったら魔法が使えなくなるように、一定の認知リソースがなければタスクに集中して取り組めず、結果的に先送りしてしまう。

以上のことから、認知リソースとタスクの先送りの関係については次のことが言える。