クリエイターフレンドリーなSNSとしてコラボも積極的に展開
また、ShareChatはクリエイターが自分の地域の文化や価値観、伝統や習慣に根差したオリジナルコンテンツを自分の言語で作成・共有することを推奨。クリエイターの収益化にも積極的で、オーディオチャットルーム(リアルタイム音声コミュニケーション)やクリエイターへのバーチャルギフティング(投げ銭)、2~15分までの長編動画を作成できるフォーマットSCTV、認知度向上や限定キャンペーン実施に役立つクリエイターバッジなどの機能を提供している。
クリエイター自身はオリジナルコンテンツを通じて地域共同体での影響力を高められ、同じ地域共同体に属するユーザーは地域に関する情報を母語で取得したり、エンターテインメントを楽しんだりできる。
ShareChatはさまざまな言語や地域の人気インフルエンサー、コンテンツクリエイターと積極的にコラボレーションを行い、その言語や地域のコンテンツ活性化に寄与。他にもAIを活用したShareChat広告でクリエイターと企業を結び付けて地域キャンペーンを実施するなど、ユーザー体験とブランド価値を共に向上させている。運営企業Mohalla Techの急成長と成功要因、直面する課題
ShareChatを運営するMohalla TechはAnkush Sachdeva氏、Bhanu Pratap Singh氏、Farid Ahsan氏のインド工科大学卒業生3人組が2015年に創業。ShareChatの成功に続き2020年にリリースした短尺動画アプリMojはインド版TikTokともいうべき存在になっている。
ShareChatとMoj両アプリの人気で急成長を遂げた同社。2021年4月にTiger Global主導のラウンドで約760億円を調達してユニコーン企業の仲間入りを果たす。2022年にはTwitter、Google、Times Groupなど、そうそうたる企業から総額約390億円の資金調達に成功した。
しかし2022年に50億ドルまで上昇した同社の評価額は、世界的不況の煽りを受け翌2023年には15億ドルまで低下した。ファンタジースポーツアプリやライブ音声チャットなどの新しい戦略をもってしても、収益性の維持に苦戦している。
コスト基盤を合理化して、今後4~6四半期で収益性の達成を目指している。2002年末からの3度にわたる人員削減や、最大のコストセンターであるサーバーコストの大幅削減を実行しているが、果たして功を奏すだろうか?インドの言語多様性に対応することで地域のアイデンティティの再構築と地域活性化に貢献し、独自の地位を築いたMohalla Tech。今後も地域コミュニティとクリエイターの力を活かし、公益性の高さを維持しながら、さらなる成長が期待される。経営陣の手腕とインドの底力に期待したい。
参考・引用元:
ShareChat
Mohalla Tech
(文・gracen)