しかし、問題は金融である。日本のように、金融機能の中核が銀行等の預金取扱金融機関によって担われていると、預金を原資とした融資には高度な制約が課せられるので、融資先企業を全体としてとらえたときに収益を生んでいることが条件になるから、収益を生まない新事業は、収益を生む旧事業との抱き合わせでなければ、存続し得ない。
そこで、政策的に、預金取扱金融機関の役割を大幅に縮小させて、金融の主舞台を資本市場に移転させる必要がある。資本市場では、多様な性格をもつ資金は、多様な手法を通じて、自らに適した性格をもつ事業に直接に投資されるので、成長しないにしても安定している過去の遺産も、成長するにしても不確実な未来の産業も、それぞれに適切な投資家を見出すことができるわけだ。
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森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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