アップデートし続けるタレントキャスティングをおこなう基準
―――タレントのキャスティングは、どのような基準でおこなっているのでしょうか?
宮下さん:キャスティングする視点は複雑であり、実はなかなか言葉にするのは難しいんです。ただ、基準を設けるのであれば「予算・タレントイメージ・企画内容」の3つが考えられますね。
たとえば、子育て世代向けの明るい広告であれば、お笑い芸人のなかでもファミリー層に人気があるタレントの提案をしています。
また、ドラマのようにセリフを言う場面が多いCM企画の場合は、演技力のあるタレントの選定が大切です。ほかにも、過去のタレントの起用実績など、さまざまな要素を組み合わせたうえで、根拠をもったキャスティングをしています。
秋山さん:チームでタイムリーなタレント情報を共有し、トレンドをつかんだキャスティングができる体制を整えています。タレントの好きなものや得意なものなど、小さな情報の積み重ねがベストなマッチングを生み出すために役立つんですよね。
タレントキャスティングをしていて大変だったこと・楽しかったこと
―――タレントキャスティングの仕事をしていて大変だと思うことはありますか?
秋山さん:決められた日程に広告を確実に打ち出すために、関係各所への調整が欠かせないところは大変ですね。
たくさんの人が関わるプロジェクトでは、どうしても漏れや行き違いが発生するため、仲介の立場である私が柔軟に対応していかなければなりません。
クライアントとタレントの思いを汲み取りながら、常に最良の形になるよう案件をチューニングする必要がある仕事だと思います。
宮下さん:人との関わりで成り立つタレントキャスティング業では、撮影当日のトラブル対応は避けられません。たとえば、天候の影響などでどうしてもタレントが遅刻することになった場合、スケジュールを即座に組み直す必要が出てきます。
トラブルにも臨機応変に対応し、現場に負担をかけないことを心掛けながら業務にあたっています。
―――タレントキャスティングの仕事をしていて楽しいと思ったことはなんですか?
宮下さん:広告のプロフェッショナルが集まる現場で、映像が出来上がる過程を目の当たりにできるのは楽しいですね。1つひとつの所作へのこだわりなど、短いCMにもさまざまな思いが込められていることを実感できました。
関わった広告が世の中に流れたときの達成感はいつも新鮮で、モチベーションがどんどん継続していきます。
後編では、タレントキャスティングの仕事を通して身に付くスキルや、向いている人の特徴について深掘りしていきます。
株式会社エイスリー
株式会社エイスリーは、東京都渋谷区に本社をもつ総合キャスティング事業を主軸にする会社。
広告・CMキャスティングやインフルエンサーキャスティングなどの10の専門チームを有し、トレンドを兼ね備えた提案を得意としている。スピーディーでスムーズな進行管理が評判を呼び、14,000件を越えるキャスティング実績があるという。