アイスクリーム市場の拡大
赤城乳業の売上高は2018年度まで右肩上がりで増加し、その後2年間はやや減少したが、21年度に増加に転じて、急伸した22年度には520億円を計上した。売上高の推移はアイスクリーム市場の拡大とほぼ軌を一にしている。日本アイスクリーム協会によると、22年度のアイスクリーム販売金額は5534億円(メーカー出荷ベース)で前年比5.2%増。03年度(3322億円)に底を打って以来、22年度まで20年間、拡大を続けてきた。協会は市場拡大をこう読み解いている。
「2000年以降会員各社が積極的な設備投資や製造設備の更新に努め、既存商品のブラッシュアップ及び付加価値ある新商品への挑戦や、SNSを活用した新たなマーケティング展開が功を奏し、単価の高い商品へシフトした結果であると推察します」
この内容は赤城乳業にも当てはまるのではないだろうか。さらにアイスクリームという商品の特性が市場拡大を導いたという見解を示すのは経済産業省だ。
「和菓子や洋菓子は専門店で購入する頻度が高いことに比べ、アイスクリームはスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで手軽に購入できることからおやつやデザートとして子供から高齢者まで幅広い世代での購入が進んでいるためと思われます」(「アイスクリーム等の動向について」)
「アイスクリームはデザートのなかでも比較的安価であり、ちょっとした贅沢や自分へのご褒美としての購入やコロナ禍の巣ごもり需要なども支出拡大に寄与していると考えられます」(同)
加えて冒頭で紹介した平均気温の上昇という気象現象が、市場拡大に直結したことは疑いようもない。現に協会も、先に紹介したアイスクリーム販売金額増加の前振りに、気象現象を詳述している。気象現象と市場拡大の因果関係には触れてないが、それをほのめかす書き方だ。