WCKはスペイン人シェフが創設した料理を提供する人道支援組織

4月2日、スペイン人シェフホセ・アンドレスが創設したWCK(世界中央キッチン)のメンバー7名が装甲車2台でガザ地区で移動中にイスラエル国防軍の攻撃を受け死亡した。

この事件が起きるまでのWCKによる食料の発送準備から辿った過程を以下に説明したい。

ガザ地区に食料を供給する準備は今年1月から進められた。先ず、外交ルートを介して、このプランが安全にガザ地区まで海上から運ぶことができるようにした。その為に、ヨルダン、エジプト、キプロスとの接触が開始された。

そして、WCKの創業者であるホセ・アンドレス氏はキプロスを基地にしているスペイン人が運営する難民支援船オープン・アームズ(OPEN ARMS)と接触して海上からガザ地区まで食料を運ぶプランについて相談した。

問題は、賞味期限が短くない食料200トンをどのようにして輸送するかということであった。船内に積むことはスペースの件で問題がある。

そこで考案されたのが20×10メートルのプラットホームを船体にロープに繋いで引っ張るというプランであった。それに積むのに食料は130個のパレットに分割した。輸送するのに波高が1.5メートル以上にならない時を選択するとした。その際に、船のスピードは通常よりも3分の1に減速して時速5.5キロ。キプロスからガザ地区までの距離は280マイル。航海日数4日をかけて運んだ。(3月20日付「OKディアリオ」から引用)。

ガザ地区では移動に比較的安全だとされていたルートを移動

事件が起きたのは3月15日にガザ地区に食料が到着して、それをDeir al Balahのキャンプ地区に運んだあと、そこを引き揚げる時に空爆攻撃を受けたのだ。ホセ・アンドレス氏が指摘しているように、通過する場所は攻撃を受ける可能性は非常に少ないとされていたルートを選んだそうだ。ところが、戦時下では安全なルートとされていても危険地区に変化するのは容易に起きる。

死亡した7名の出身国は英国、ポーランド、オーストラリア、米国とカナダの二重国籍者とそれにパレスチナ人である。

ホセ・アンドレス氏は「彼らが死亡するという悲劇が戦争を止めさせるのに役に立たないということが最悪のことである」とXで述べ、さらに「人道支援を制限することや、市民や人道支援をしている人達を殺害することや食料を武器の標的にするようなことは止めるべきだ」とイスラエル政府に要求した。彼のこのメッセージは2800万回再生されたという。(4月2日付「ABC」から引用)。

ガザでのイスラエル国防軍の空爆により、私たちの姉妹や兄弟が数名亡くなった。私は心を痛め、彼らの家族や友人、そして私たちWCKファミリー全員のために悲しんでいる。

ウクライナ、ガザ、トルコ、モロッコ、バハマ、インドネシアで一緒に働いていた人たち…天使たち…だ。彼らは顔のない人たちではないし、名前もない人たちではない。

イスラエル政府はこの無差別殺戮をやめるべきだ。人道支援を制限するのをやめ、民間人や援助関係者を殺すのをやめ、食料を武器として使うのをやめるべきだ。これ以上、罪のない命が失われることはない。平和は、私たちが共有する人間性から始まる。

今、それを始める必要がある。

尚、この事件が起きる前に第2弾としてキプロスから400トンの食料が輸送されていた。が、この事件が起きたことで輸送を中断して船はキプロスに引き返した。

亡くなったWCKのメンバー シェフホセ・アンドレス氏インスタグラムより