最近、相続土地国庫帰属制度というのが出来ました。要するにいらない土地は手数料を払えば国が引き取ります、という話です。但し、土地の上に家や樹木があるとダメ、境界線画定が出来ていないとダメなど国はあらゆるリスクを取り除いた状態でのみ引き取るとします。所有者からすれば古家を壊すだけでも数百万円はかかります。せっかくの制度なのにハードルは高いと言わざるを得ません。
先日、マンションVS戸建ての話をしましたね。私がマンションにネガティブなのは日本は「終の棲家」という発想があり、それがマンションに適用された場合、30-50年するとマンションの住民の新陳代謝が出来なくなる点が懸念材料の一つなのです。昔の団地、赤羽や高島平、新宿区戸山の団地、更には千葉や東京の郊外、横浜郊外に建てられた〇〇ニュータウンという名の新興住宅街の多くが60-70年代の住宅取得ブーム時に建てられました。交通が不便だったり建物が古すぎて子供たちは「こんな家、いらない」と出て行き、今では重い鉄の扉が冷たく閉ざされ、来るものを拒む、そんな物件になってしまったのです。
私はコンパクトシティ推奨派ですが、これは地方に留まらず、大都市でもっと真剣に取り組むべき事象だと感じています。行政は40階、50階といった住宅を大手デベロッパーの意向に沿うようにどんどん作ります。しかし、日本の人口は毎年一つの県がなくなるほどの減少ペースなのです。なのに既存の街を再生せず、空に向かって住宅を造り続ける、これはおかしいのです。
私は高層住宅を建てるデベロッパーに戸当たりいくらかの課徴金を乗せ、その資金で購入者の持っていた住宅を国なり地方自治体なりが管理するランドバンク化をさせて、土地の再編を促しやすくして大規模な区画整理が容易にできる仕組みを取り入れるべきと考えています。要は課徴金によりデベロッパーに不要な住宅供給を抑制させ、既存の住宅街を再活性化させる、これが日本の不動産の事業の本質です。
あと、本題から外れますが、カナダでは外国人は現在、不動産を購入できません。時限立法ですが、延長されている状態で、住宅価格の抑制のほか、日本でも話題になる外国による乗っ取りを防ぐという意味合いもあります。日本がもっとドラスティックな政策を打ちだすことを私は期待します。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月7日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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