『元来世間のことは雑草のように、油断をすれば際限なく生(ふ)えてゆくものである。事件が次から次へと増加してゆくと、その繁雑に紛(まぎ)れて、だんだん余裕も反省もなくなってしまう。そして結局破滅に陥るものである。絶えず問題を省(かえり)みると共に省(はぶ)いて、手にも心にも余裕を存することが必要である。政治とは省治である。役所を「省」と称することは誠に深意がある』と、明治の知の巨人・安岡正篤先生は言われています。

拙著『安岡正篤ノート』(致知出版社)の第一章「私の心に残る片言隻句」でも御紹介したように、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンに重用された耶律楚材(やりつそざい)は、「一利を興(おこ)すは一害を除くにしかず。一事を生やすは一事を減らすにしかず」ということ、即ち絶えず問題を省みて省くことの大切さ・必要性を説きました。

私はこの考え方ほど、組織運営において正しい真理は無いと思っています。大体が組織は常に大きくなる方へと働くものです。しかし組織というのは、そう大きくなったら良いわけではありません。何故なら効率性も落ち、無駄がどんどん生じるからです。官民問わず基本いかなる組織体であろうとも、使った資源に対する得られた成果割合を最大化すべく、効率を重視しなければなりません。