今日はこの真逆、つまり閉店のフェアシェア理論を考えざるを得なくなります。ラーメン屋が4軒に減ったら潜在顧客は1250人になるだろう、と考えたいところです。ところが人口減のみならず、高齢化で外食をしたい人も減るのでラーメン屋は4軒でも余るのです。
実例です。山手線の目白駅。この駅周辺の半分は学習院、川村、日本女子大、独協などなど学園地帯です。残り半分は基本的に閑静な住宅街でマンションも小ぶりなのがポツポツ建っている程度。駅のそばには商業地域があります。そこでこの5年間で何が起きたか、というと松屋と日高屋と餃子の王将とマクドナルドが全部無くなり、大手飲食店はゼロになりました。そうです。高齢化する街の典型でビジネス街もなく、学生は池袋、高田馬場、新宿に吸収され、地元には何も残らなかったのです。
もっと言いましょうか?この駅前にはかつて、みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな銀行がありました。今、店舗店はりそな銀行の出張所だけ。あとの銀行はATMコーナーのみです。イメージの良いこの駅の周りではビジネスが不毛であるとも言えるのです。山手線の駅なのにこのような現象が起きているのは驚きなのですが、メディアはそういうことには気がつきません。確実に街が退化しているのがわかるのです。これは世田谷区が地盤沈下し、いまや誰も田園調布なんて言わなくなったのと同じだとも言えます。
私は起業には特別の熱意があります。ですが、むやみやたら起業しても今の時代、勝てないのもまた事実。シャッター街に頑張って開けた「小さな私のお店」を散見します。その努力は買うけれどビジネスの難しさを感じている起業者も多いでしょう。ただ、一つだけ。大手の店は大手の収益規模をベースにみています。ということはその収益規模を求めなければチャンスはあるとも言えます。前述の目白駅の商業地区。以前から思うのは「日高屋がなくなった今、この駅前にはラーメン専門店が一軒もない」という事実です。フェアシェア理論の閉店の論理が究極だとも言えます。寂しい限りです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月4日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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